「ユーウツなつうしんぼ」と「びりっかすの神さま」を比べて読むと。

久々に読んだ児童書「ユーウツなつうしんぼ」アンドリュー・クレメンツ

成績の話題から紹介された「ユーウツなつうしんぼ」

ある本の校正のお手伝いをしているときに、成績で机の位置が変わるという話題から、僕が「それって、びりっかすの神様みたいですね。」とコメントを送ったら、著者から「ユーウツなつうしんぼ」という本もあると教えてもらった一冊。
「びりっかすの神さま」は岡田淳さんの本の中でもなかなか読みやすい部類に入るもので、昔、市の図書館研で岡田淳ブッククラブで公開授業をやったときにも、本リストに入れた本でした。公立図書館で取り寄せてから、ずっと放っておいていたのですが、久々に物語が読みたくなって読み始めました。

天才少女ノラが成績偏重の学校をひっくり返そうとするストーリー

内容はというと、天才少女であるノラは自分が人と違うことで注目をあびることが嫌で、幼い頃から普通の人のふりをして過ごしてきた。このノラが主人公。
ノラは、親友のスティーブンがテストが悪いせいで自分のことをバカだと思っていることに違和感を感じ、テストや成績偏重の学校をひっくり返してやりたいと活動を開始する、といったストーリー。
学年的には、高学年向きかな。でも、それほど読書が得意でなくても、高学年ならかなり楽しめるんじゃないかなっていう文章量と内容。表現も難しいものはなく、読書に慣れているならば3・4年生でもいける子はいると思います。

親しみやすい天才にメッセージを込める

天才が出て来る本って、とっつきづらくて、夢物語で、あこがれ的になりがち(デスノートを想像しています)だと思うのですが、ノラはサッカーが好きだったり、天才なのに計画は結構失敗するし、感情的に怒ったり学校をサボったりするところが、子どもたちには親しみがあっていいかもしれません。
成績偏重の学校に違和感を感じているのは、実はノラだけではなく、先生たちも、特に司書のバーン先生もそう感じていて、バーン先生の大人で優しい関わり方がノラの行き過ぎた考え方を柔らかくしています。先生たちも実はテスト社会には違和感を感じているけれども、見て見ぬふりをしてしまっているところは、この筆者のメッセージが込められているように思います。
このアンドリュー・クレメンツ岡田淳と同様に学校の先生だったようです。学校の先生時代に感じていたことを、物語として表現したんじゃないかな。

「びりっかすの神さま」と「ユーウツなつうしんぼ」の比べ読み

「びりっかすの神さま」を読んだのも相当前なので、ページをペラペラめくって思い出しながら、比べて書いてみようと思います。
「びりっかすの神さま」も成績重視の担任の先生と戦うお話ですが、びりっかすさんという妖精みたいなキャラクターを通じて、みんながテストで満点を取る話です。けれど、「ユーウツなつうしんぼ」のノラとスティーブンは、テスト主義を覆すために「みんなで0点を取ろう」と学校に働きかけます。
そして、「びりっかす」の方は、クラスみんなが協力するシーンが多いですが、「ユーウツ」の方は、ノラとスティーブンのアイデアと行動力が魅力的なストーリーです。
加えて、エンディングも「びりっかす」では、子どもたち同士の関わりが深まっていくことが大切にされているのに対し、「ユーウツ」では、ノラやスティーブンが先生たちや親と対話し議論して相手を説得していくことがストーリーの中心に描かれています。
訳者あとがきによると、「ユーウツなつうしんぼ」の舞台となっているコネチカット州は、学力平均も高くて、収入も高いご家庭が多いそうです。アメリカではオルタナティブな教育が盛んなイメージとは裏腹に、こういったテストで塗り固められた学校で過ごしている子どもたちもいるという、とにかく教育に対する考え方によって、さまざまな学校があるんだと驚いています。すっごくいい学校もあれば、すっごく悪い学校もある。すっごく良い先生もいれば、すっごく悪い先生もいる。それがアメリカなんですね。
日本の学校は制度で縛られているとは言え、制度によって底上げされている部分もある。どの学校でもだいたい平均的な授業が受けられるのが、いいところでもあるし、コンビニ的で課題でもあるのでしょうね。

ペア読書用に2冊購入

面白かったので、中古本を2冊買いました。こうやって少しずつ本が増えていくんだな。貸本屋しますのでお声掛けください。

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