『お金2.0 新しい経済のルールと生き方』で学校や学習も考える

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『お金2.0 新しい経済のルールと生き方』ってどんな本?

 縄文時代から弥生時代になり、保存できるお米が価値を示す指標として流通していくようになり、身分の差が生まれていったそうです。それが分かるのがこの本。
 そして、戦国時代、米という経済から、貨幣という経済に移行していきました。信長がその一役を担っていたと言われています。それが分かるのがこの本。
 そして、お金は、証券になったり外国為替になったりして、形を変えていきましたが、ネットが空気のように当たり前のようになった今、仮想通貨に代表されるフィンテックが台頭してきています。そういうものにも、しっかり付いていかなきゃいけないなと思って買ったのが、この本『お金2.0 新しい経済のルールと生き方』です。

印象深い部分を引用してみる

新しいものが出てきた時に、それに似た業界の前提知識があると、その知識に当てはめて新しいものを見てしまう傾向があります。しかし、それは危険です。仮想通貨も既存の金融業界の人ほど理解に苦しみ、全く前提知識のない若者や一般の人のほうが自然に受け入れて使いこなしています。#お金2.0
 たしかに、僕の親世代は、クレジットカードさえそんなに普及していないし、スマートフォンもやっとさわり始めた程度。当たり前にあったものを、当たり前のものとして受け入れられる能力というのは、生きていく上での前提を違ったものにしてしまいます。
 教師なので、やっぱり学習に当てはめてしまうのですが、上の世代の先生は、ホームスクーリングとか、ネットの授業配信、ゲーミフィケーションなど、多分発想にないだろうし、僕自身もその発想に触れることができているのは、偶然だとも思います。従来の学校制度しか知らなければ、そういう発想と接する機会はないわけですから。

既存の経済や社会は、「分散化」の真逆の「中央集権化」によって秩序を保ってきた。#お金2.0

教室も、学校も、教育行政も。教室内から分散化の仕組みを取り入れていく必要がある。 

 一斉授業も、大体の学校で行われている問題解決的学習も、言うなれば「中央集権的学習」で、子ども一人ひとりが主体者になるのが、「分散化」であると思います。「子どもは学習の主体者になれない」というマインドセットから、「子どもも学習の主体者になることを通して、主体者意識を育てる」というマインドセットへ、その未来は「主体者は子どもにあるのは当たり前」というマインドセットになるのだろうと思います。

より優れた投資モデルを作ることができたデータサイエンティストほど多くの報酬を受け取ることができるので、データサイエンティスト同士が競争してより良いモデルを作るという競争原理が働きます。#お金2.0

競争は目的化すると形骸化するけれど、手段として用いれば効果的な刺激になるよね。

 競争は是か否かの二律背反的な議論は早く終わらせて、どんな学習であれば競争は効率的に機能するのか、どんな学習は競争は学習を形骸化させてしまうのか、どんなシステムなら競争をうまく活かせるのか、そういうことを考えていかないといけませんね。結局、世の中は、競争があるという前提があるので、学習のなかにどう競争を盛り込んでいくかがポイント。そして、競争で可視化されたヒエラルキーを、固定化させないでおもしろく動かす仕組みがポイントだと思います。
世の中に流通しているお金の流れの9割近くは資産経済の方で生まれています。
統計上の数字では間違いなく多くの人が馴染みのある消費経済ではなく、少数の人が回す資産経済が大半のお金の流れを作っています。#お金2.0
 これを読んで思い出すのが、氷山モデル。あと、
『心で見なくちゃ、ものごとはよく見えない。かんじんなことは、目に見えないんだ』
ネットが十分に普及した世界では、「どれが一番正しいのか?」という考え方ではなく「どれも正しい、人によって正解は違う」という考え方が徐々に受け入れられても良いはずです。#お金2.0
 これはもう大分浸透してきているけれど、「経済」も選択できて、自分がもっとも正しいと思う経済に身を置くというのは、目から鱗だった。経済を選ぶという発想がなかった。この本で、インスタに投稿するときだけ、カーラーを外し、外出するときもインスタに投稿する直前までカーラーを外さないエピソードが登場するけれど、この人はインスタという経済を選択したと言える。ネットがもう一つの世界となりつつあることを象徴するようなエピソード。同じようなことが、経済にもありうる。そして、教育の世界や学習の世界にも、そのオルタナティブな感覚は、しっかりと近づいていることを認識していかないといけない。
私たちの脳は一度常識が出来上がっってしまうとその枠組の中で物事を考えたり判断するようになってしまい、新しく誕生した技術などをバイアスなしに見ることが難しいのです。#お金2.0
 痛烈に言い切ってくれたという感じ。そして、僕自身も若い人たちとは空気感そのものが違うことを認識して、違いながらも共感しあい、適応し合う姿勢を保ち続けないと行けないと思います。
お金の相対的な価値はどんどん下がっているからです。ミレニアル世代を中心に金銭欲求が薄れてきて、お金を稼ぐことが人を動かすモチベーションになりにくくなっていますから、お金を最優先に動いても、世の中の需要と噛み合わなくなってきます。#お金2.0
 僕自身も、「あなたは僕とは違う世代だね」と先輩に言われたことがあります。でも、お金がなくなったらどうしよう…と心配することも多々あるのですが。育休取らせてもらっていることで、新しい価値を提案できたらとは思います。
おそらく、何かに熱中した経験というのは誰でも子供の時にしていると思います。ただ、小中学校の教育を受け、やりたいことではなく、やらなければならないことを続けていくうちに、自分が何に興味を持って何に熱中していたのか、情熱の源泉を忘れてしまうのだと私は思います。#お金2.0
 僕は上のようなことを主張している本ばかりを読んでしまっていて、ちょっとズレてしまっている先生だと思います。このズレを、何かに活かしていきたいなあ(笑)
格差とは有機的なネットワークの循環が作りだす一種の「物理現象」です。取引を繰り返すうちに物事は徐々に偏りが発生していき、自然と格差はできてしまいます。そういった現象と構造を理解した上で、どんな制度であれば格差を固定化せずに社会全体が活気を持てるのかを考えるのが建設的です。#お金2.0
 学級経営ともつながりますね。差はあることが前提。その差を一元化せずに、多元化して、一人一人の子どものもつ価値を見えるようにする。一人ひとりの子どもが主体者となるためには、教師という『プロトタイプのシステムを設計する人』が必要で、一度システムが構築できれば、あとはメンテナンスに徹する。そのうち、子ども自身がシステムのメンテナンスを担ってくれる。
 学級経営はそういう考えが広がっているとは思うけど、こと学習に関しては、評価とカリキュラムが肥大化して、子どもの主体者になる学習はまだまだ英語の本の中にしかない。なんとかできればいいなあ。

「お金を増やそう」的な本ではなく、ものの見方を与えてくれる本

 お金の本だけど、お金というものを通じて、物事の見方、全く見たことのないものをどうやって捉えたらいいのかを考えさせてくれる本だと思います。お金という守銭奴的なイメージに引っ張られないで、創造的に読むべき本だと思います。良い本でした!!

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