地元の田んぼ 子どもに伝えたことを、自分も実現する。

元教師の農家のおじさん

ふと思い出した。

今から6年前に5年生を受け持ったとき、自分はお米の無農薬栽培にハマっていた。

学区近くの筋金入りの米マニアのお米屋さんおすすめられ、栃木県塩谷町まで行って取材をしたこともあった。(そこには、最強の昆虫であるタガメも珍しくなく、水生昆虫の宝庫だった。)

子どもたちものめり込み、「自分でお米を育てたい」となった。土にはこだわらなくてはダメだということになり、土探しをすることになる。都会の学校には良い土がない。

そこで、僕の住んでいる地元にも農薬を減らしてほそぼそと農家をしているという人がいることを、人づてで知ることになる。

お会いしてみると、その方は、元小学校教師だという。小学校をリタイアした後、この地元の僕でもなかなか足を踏み込まないこの場所で、ひっそりと農家を営んでいた。リタイアしてから一念発起して農家を始め、今に至るという。

Quangpraha / Pixabay

「先生は、自然を守るために、何をしますか?」

ぶしつけな質問をしてみた。「どうして、教育を離れて、農家をしたんですか?」と

その人は答えた。

総合学習で地元の森の水質調査をすることになり、子どもたちと一緒にその森の水を守ろうという取り組みをした。子どもたちものめり込んだが、自分がいちばんにのめり込んだ。それは、本当に楽しかった。環境会議という名の会議をしていたのだが、その時、一人の子が、私にこう問いかけた。

「先生は、自然を守るために、何をしますか?」

その時に、子どもに自然を守ることを教えているのに、一生懸命自分たちのやれることをやっている子どもたちを尻目に、自分は何もできていない。自分も子どもの前で自然を守ろうと言っていても、自分の生活を割くことをせずに、「自然を守ろう」なんてむしのいいことを言っている。それで、その子どもの質問の前に、黙ってしまったそうだ。

その森は、近くのゴルフ場から流れる農薬や、不法投棄のごみで、一時はゴミ山のような川だったが、今ではホタルも飛ぶような川に生まれ変わりつつある。水質改善に一役買って出たのが、その方だった。

その経験もあり、その森の近くにひっそりと田んぼを構えている。おそらく、ゴルフ場の農薬の影響もあるだろう、そのような場所に、ほんとうにひっそりと、田起こしを続けていた。

「今だったら、先生は体にいいお米を作って、自然を守ろうとがんばっているよと言えるかもなあ」照れるように笑っていた。

valiunic / Pixabay

伝えるだけでいいのか?

そんな出会いをふと思い出した。

僕自身も同じ思いを持ったことがある。

熱帯雨林が危ないという授業を行いつつも、さて、自分は何をしているのだろう?子どもたちに、「知ることが大切」というのはいい。けれど、もう既に知っている大人である自分が、一体何をしているのか、行動としてそのモデルを示せなくていいのかと。

その迷いに、最近、少し光が差し込んできた。

自分も、子どもと学ぶという技術を、そこで何か活かせるかもしれない。

あの、元教師の農家のおじさんにもう一度会えたら、あのときの言葉が今でも刺激になっていると伝えたい。

rawpixel / Pixabay

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