その子に応じて学習を変える、グルーピングする。Differentiated instructional strategies chp.5

一人ひとりを生かす指導法 Differentiated Instructional Strategies

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調整、コンパクト化、グルーピング

「毎日、毎日、同じ形の授業で、子どもたちはあきあきしてしまっていませんか?」という始まり。たしかに、毎日一斉授業で先生が語りっぱなしなら、あきあきするだろうなあ。

子どもたちは、TwitterやInstagramで、一人ひとりのニーズにカスタマイズされたタイムラインを見て生活しているというのに、授業は一人ひとりに応じていないんじゃ、大人が感じている以上に苦役になるのかもしれない。

 

役割分担(割り振り)を調整する

この章では、学習状況に応じて、学習活動や内容を分けて割り振るということが具体的に説明されています。割り振りを決定するために、教師は以下のような質問で考えます。

  • 各グループが既に知っている内容は何?
  • 各グループが知る必要のあることは何?
  • 各部分の学習を促すのに、教師はどんな技を使うべき?
  • 活動ごとに子どもたちをグループにするのにもっとも効果的な方法は?
  • 子どもたちの活動を理解できるものにするための評価方法は何?
  • 子ども個人のニーズを満たした計画になっている?

割り振りを行う意味

この本で大きく取り扱われているのは、学力を3段階(High Degree of Mastery, Approaching Mastery, Beginning Mastery)に分けて複線型のカリキュラムを作っていることです。日本の言い方で言えば、3段階の学力ごとに、学習内容も学習活動もちがうというイメージです。誤解のないように書けば、別に教室を分けているわけでもなく、子どもたちは一つの教室の中で自然とその学習に向かっています。また、違うレベルの子ども同士の交流も自然にあります。ただ、その子の学習状況によって、活動や学習内容がちがうのです。

子どもたちがそのトピックの習熟の程度によって、3段階に分けられていることで、子どもたちが自立的に学習できるような環境を作ります。また、ペアや小グループを使って、ピア・サポートの力も使います。そうすることで、教師はより自由に動くことができ、必要で効果の高い個別的な支援を行うことができるのです。

事例ではお金や時計、元素の周期表が例示されていますが、分かりやすい時計(1・2年生)だけ紹介します。

  • 高い習熟の子
    • すでに知っていること
      • 毎日時計を使っている。
      • 時間と分の針がどのように動くかを説明できる
      • どんな状況でもすぐに性格に時計を読むことができる
    • 知る必要のあること
      • いつでも自動的に瞬間的に時計を読む
  • 習熟途上の子
    • すでに知っていること
      • 時間と半を正確に伝えることができる
      • 給食や就業時間のようなルーチンの時間を認識している
      • 時間の経過(◯時間後)を読み、理解できる
    • 知る必要のあること
      • 分の時間を読める
      • 分を使って時間を数えられる、秒を使って時間を数えられる
      • いつでも時間の読み方を学習している
  • 習熟初期の子
    • すでに知っていること
    • 知る必要のあること
      • 分の針は5ずつ数える
      • 時間の針は分の配慮理もゆっくり動く
      • 時間と分の針の位置(15分、30分、45分)
      • デジタル時計を読む
      • 時間の針と分の針の名前を言える
      • 1時間は60分である
      • 12の数は時間を表している

このように、3つの習熟度によって、学習する内容が違います。日本の教室であれば、40人一斉に時計の針を動かして教えることがスタンダードですが、この本では、3つの習熟度の子それぞれに教え方や活動が違います。習熟が高い子には、直接的な支援は必要なく、たとえばプリントや課題リストだけで自立的に学習が行えるでしょう。そうすれば、必要な支援を必要な子に行うことができ、子どもたちも自分の習熟度に応じた学習で学ぶことができるというわけです。

おそらく、この3段階のグループが同じ教室に存在することが大切なのだと思います。先生も教えますが、同じグループの子同士、違うグループの子でも、教え合いが始まると思います。そうなることで、3段階以上の、一人一人にあった学び方が成立しはじめます。まさに、Twitterのタイムラインのように、一人ひとりが違った学習を行っていることになります。

 

すごく賢い子(Gifted)についても、カリキュラムをコンパクト化するという方法があると説明されています。飛び級ならぬ、飛び学習活動でしょうか。

ボクは、そういう賢い子を飽き飽きさせずに学習に没頭させることが、その子はもとより、クラスにとっても良い効果になり、また逆に、そういう子を飽々させることによって、学級の秩序が乱れるのではないかと考えています。どんな子でも、学習に熱中させることが、いちばんのクラスづくりです。

柔軟なグルーピングとその方法

TAPS(a rap)とは、Total, Alone, Partner, Small Groupの頭文字をとった言葉です。一斉、個別、ペア、小グループは、それぞれ適した学習活動があります。そのどれも子どもたちに経験させることが大切です。

これは「責任移行モデル」にもつながります。子どもたちに学習の責任やオーナーシップを段階的に受け渡していくモデルのことです。グループサイズを変えることで、多くの学習形態の経験を積み、少しずつ学習を自分のハンドルで操作することを学んでいけるようにするのです。

「学びの責任」は誰にあるのか: 「責任の移行モデル」で授業が変わる グルーピングは、時計の例に上げた習熟度以外にも、興味のある内容に応じて、ペア同士で、協同学習を目的としてなど、いろいろなグルーピングの方法があります。

違う子がグループになったほうが学べる

協働学習においては、自分と似ている子よりも、違う子の方が学習効率がよいそうです。chp.3で、いろいろな認知特性の子どものカテゴリーを紹介していましたが、理想的に言えば、学力や認知特性、バックボーンなどがバラバラのグループのほうが生産的で協働的な活動ができるということでしょう。イエナプランのように、異学年学習だとさらにおもしろくなりそうですよね。 子どもを知る Differentiated instructional strategies chp.3

そして、パートナーと呼ばれる、ある程度の期間一緒に活動をしたりふりかえりをしたりする相手を作って学ぶ方法も、筆者は効果的であることを言っています。

けれども、柔軟性のあるグルーピングを継続していくことが大切だそうです。特定の子どもばかりがいつもグループになってしまうのは教師が作った仕組みを使ってできないようにし、ルーレットやくじ引き、カードなどで、いろいろな子どもと一緒に学習が行えるようにするということでしょう。

 

グループで仕事をしたり、一人で仕事をしたりするわけで、いつまでも教師が一斉指導で教えたり、やることを言ってくれたりするわけではないので、どんどんTAPSをかえて、どんどん動かしていくということが大切です。

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