香川県高松市にある新屋島水族館で、8月13日〜15日の3日間、マナティーワークショップをしてきました。
ワークショップといっても、マナティーの水槽の前で、マナティーの「おびれ」や「顔」をよく見てもらい、正しいマナティーを作ってもらうパズルゲームのようなもので、1枚のプリントにまとめられていて取り組みやすい活動です。
学校でも活用できますので、『マナティー研究所』のHPから、ダウンロードして、学校での係活動やイベントに使ってもらえたらと思います。
新屋島水族館で感じたことは、ファンダムエコノミーの存在です。新屋島水族館というファンダム、マナティーというファンダムが、しっかり形成されているように思います。
ファンダムとは、「Fan」と Freedom や Kingdom などの接尾語の「dom」をつなげて言葉で、直訳すると、「ファンの領域」のような言葉になると思います。
例えば、妻はミスチルのファンですが、ミスチルを中心に、チケットやCDを買ったり、グッズを購入したり、または、ミスチルが何かをやるとなると、そこに出かけたりして、ミスチル経済圏に参加します。もしかしたら、ブログの記事を書いたり、イラストを描いたりできれば、ミスチル経済圏に Creater として参加できるかもしれません。
ミスチルのように大きな経済圏でなくても、インディーズのような人たちにも経済圏がありますし、Createrが創造性を発揮し続ける限り、そのファンが活性化して、経済圏が出来上がります。小さな経済圏がたくさん集まり、インディーズファン同士の交流や、イベントの企画など、経済圏同士が離れたりくっついたりして、盛衰していくでしょう。
Fandomはすごい力を持っていて、例えば、BTSのFandomを表す「ARMY」に参加する人たちは、BLT(Black Lives Matter)への支援金として1億円以上の寄付を集めています。
新屋島水族館でワークショップで気づいたことは、新屋島水族館のキャラクターである「マナやん」を中心に、小さくない経済圏が生まれているということです。
水族館のキャラクターグッズは分かりやすいです。僕もいくつか持っています。
SNSでマナヤンをフォローしている1.4万人以上の人たちのアイコンを見ると、マナやんのイラストが入っていたり、プロフィールには新屋島水族館の生き物を愛していることが伝わってきたりします。やっぱり、生き物を大切にしている人は世の中にたくさんいるんだなあと。
マナティーワークショップをやっていると、「私、マナティー大好きなんです!!」「鳥羽水族館にも行きました!!」のような声をよく聞きます。水族館が好きということ以上に、その動物を愛でるのが好きという方々です。マナティーは愛嬌のある顔立ちだったり、温厚な性格だったりと、マイナーではあるものの、結構可愛がられます。NEXCO東日本のキャラクターにもなっています。
これはきっと、新屋島水族館に限らず、世界各地の動物園や水族館にもあって、そしてそれは、マナティーだけでなく、ユキヒョウやマヌルネコにもファンダムがあるということ。もしこれらの生き物の施設や絶滅危惧種を応援するファンダムが横のつながりを持ち始めたら、かなりの影響力を生むのではないかと考えています。
クラウドファンディングがメジャーになり、個人が共感から身銭を切って出資することのハードルが少しずつ下がっています。おそらく、これから、「投げ銭」(この言葉は、どこかヒエラルキーを感じるので、「チップ」でいいんじゃないかな)が実装されたプラットフォームもたくさん出てくると思うので、もっと価値が流動的になる可能性を秘めています。
これは、大きなうねりになるのではないでしょうか?
「動物や自然を守る」という存在目的が分かりやすいので、「儲け」ではない横のつながりが生まれやすいですし、キャラクターが動物自身であるので、クリエイターの創造力もどんどん発揮できるのではないかと思います。マナティーとユキヒョウのコラボとか、熱帯と寒帯の動物コラボとか、おもしろそうですよね。ナラティブもその動物自身が持っているので、参加者が感情移入しやすいのもあると思います。
Web3.0とかNFTとかで、アイドルの「推し活」みたいに、野生動物への「推し活」が簡単にできるインフラが整備されつつあると思います。そして、そこで得た資金や人の熱意を、金儲けでなく、本当に野生動物がこれからも地球で生き生きと暮らしていけるために使われるような、そういうエコシステムがアクティベートできるのではないかと思います。そのキーにマナティー研究所が何かの力になれるような気がしています。
コメント