第2章 「知識の構造」と「プロセスの構造」

butterfly insect winged insect 4331746 思考する教室をつくる
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第2章 「知識の構造」と「プロセスの構造」

もう完全に自分のためです。読むだけだと、全然頭に定着しないので、書いています。

「知識の構造」はよくわかる

これまで第1章で扱ってきた例は、いずれも「知識の構造」からの説明で足りると思います。

第1章『思考する教室をつくる概念型カリキュラムの理論と実践』
『思考する教室をつくる概念型カリキュラムの理論と実践』を読んでいます。積読していたので、いまさら感ありますが、呼ばれた気がしたので読み始めました。 第1章 思考する教室 知識同士、スキル同士を結びつける CBCI (Consept-Base...

テーマ「昆虫の体のつくり」で学ぶと、チョウも、カマキリも、カブトムシも、体が頭、胸、腹に分かれます。このような事実を集めると、子どもたちは、昆虫の頭部、胸部、腹部というような概念を習得し、同時に、羽や足などの概念も習得することでしょう。習得した概念をさまざまな昆虫に転移させて考え、「昆虫の成虫は頭、胸、腹の3つ分けることができる」と一般化することになる。

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プロセスの構造とは?

ここで筆者は、「知識」だけでなくて、「プロセス」にも概念があり、一般化するそうです。僕も理解を進めるために、丁寧に考えてみます。

プロセスとは、結果を生む行動である。プロセスの例示として「書くプロセス」「読解プロセス」「問題解決のプロセス」「科学的プロセス」「リサーチプロセス」などが挙げられています。プロセスを細分化したストラテジー(学習能力を向上させるために、学習者が自覚的に調整しモニターする体系的な計画)やスキル(ストラテジーに組み込まれた、より小規模なレベルの作業またはアクション)を駆使して、プロセスを回していくのが学習。プロセスを回転させると、思考の構造が生まれ、アイデアが引き出される。それを1〜2語で表されるのが概念。概念を使って他のプロセスにも転移できるように一般化し、そして初めて理解したと言える状態になります。むむ、難しい。

例1 物語を書くの場合

例を出して、考えてみます。

例えば、作家の時間の「物語を書く」というプロセスを回すことで、「主人公」「舞台」「起承転結」「ジャンル」などの概念と出会います。そのときに、これらの概念を言葉として子どもがしっかり使いこなせるようにしたい。書くプロセスを回して、ストラテジーやスキルを習得することによって、「主人公には得意技だけではなくて、弱点を作ると、読者を物語に引き込みやすくなる」のような一般化した理解を子どもたちは獲得するでしょう。

例2 ボールゲームの場合

プロセス(ストラテジーやスキルも含めて)が一般化を通じて、他の内容や教科へと転移していくイメージを、僕はあまり強く持っていませんでした。例えば、「ボールを前へパスする」というスキル(ストラテジー)は、サッカーでも、バスケットボールでも、転移できます。(タグラグビーでは、ファールになってしまいますが・・・)

この場合には、概念として、「キープ」「前」「パス」「すぐ」などが挙げられ、「ボールをキープしたら、すぐに前へパスを出し、自分も走る」なども一般化がされて、理解したという状態になるのでしょう。

例3 Youtubeをよくみる子が、絵本作りの場面で、転移する

Youtubeの動画をたくさんみている子どもは、絵本作りの際の場面の切り替え方がとてもうまい印象があります。(読者を驚かせたい時は、間やタメを作って、見せたいものを出すのようなテクニック)それもスキルを転移させていると言って良いでしょう。それを言葉で一般化させることで、いろいろなものへと転移させることも可能なのでしょう。

この場合は、「切り替え」「伏線」「効果」「間」「タメ」などが概念として挙げられ、「読者を驚かせたいときには、伏線を作り、一定の間を取り、効果的に対象を出すことによって成功する」のような一般化がされるのだろう。(つまり、理解というのはかなり個人的な経験に裏付けられる可能性も大いにある)

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知識、技能の習得を通して、概念を習得する

ここで大切なことは、知識にしろ、スキルにしろ、これまで学習というものは、知識やスキルの修得を目的にして行われていたものでしたが、この概念型カリキュラムでは、知識やスキルの習得するプロセスを通じて、概念を獲得し、他に転移可能で一般化した理解を行うことを目的にしているということでしょう。

「学習活動を通じて、理解する」というのが、自分にとってのこれまでの学習の言い表し方でしたが、「知識・技能を獲得するプロセスを通じて、概念を獲得し、一般化できる理解を行う」というような学習観の表現になってくる。きっと理解が深まればもう少し研ぎ澄まされた表現にもなると思います。

「知識・技能を獲得するプロセスを通じて、概念を獲得し、一般化できる理解を行う」ということが、概念型カリキュラムの目標設定の文言にもしっかり表れています。「〇〇を理解するために(転移可能な理解)〇〇する(知識・技能の獲得)」ということですね。

地勢と天然資源は地域の経済力を決める要因の一部である、ということを理解するために、世界の地域間の経済的な相違を特定する。
技術の進歩は、社会における社会的・経済的パターンを変える、ということを理解するために、技術の変化を比較する。

指導要領との関連

「思考力、判断力、表現力等」というのは、この概念や一般化まで含んだ表現なのだと思います。

新指導要領から、各教科の見方・考え方が示されていますが、それも概念や一般化と重なるところが多いように思います。(以下のリンクは文部科学省の教科ごとに見方・考え方の一覧表です)

クリックして1371959_12.pdfにアクセス

けれど、指導者・支援者が、自分で概念を抽出して、他の分野とリンクさせていく過程が大切なように思います。出来合いのものでは、子どもに伝えるところまで意識上に引き上げて、伝えることが僕の場合はできません。

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