第3章 概念型の指導単元を設計する

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第1章『思考する教室をつくる概念型カリキュラムの理論と実践』
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第3章 概念型の指導単元を設計する

概念型単元を作るまでのステップ

ステップ1〜11まで、順を追って書かれています。

  1. 単元名を決める(焦点もしくは文脈)
  2. 概念レンズを決める
  3. 単元の領域を決める
  4. トピックと概念を単元の領域の下に書く
  5. その学習の単元から生徒に導き出してほしい一般化を文にする(生徒が概念的に理解しなければならないこと)
  6. 思考をうながす問いをつくる
  7. 必須内容を決める(生徒が必ず知るべきこと)
  8. 主要スキルを決める(生徒が必ずできるようになるべきこと)
  9. 単元末評価課題及び採点ガイドを作成する
  10. 期待される学習経験を設計する
  11. 単元の概要を書く

このステップを見て思い出すのが、平成21年に社会科全国発表を開催した初任校時代の指導案の作りを思い出します。「単元構想図」というものを中心に単元が描かれていて、その図に散りばめられていたのが、この本で言う「トピック」や「概念」だったように思います。「単元を貫く問い」を大切にしていて、これが「概念レンズ」の役割を果たし、そこから派生するいろいろな学習問題が「思考をうながす問い」につながっていくんだと思います。

あの頃は、趣味で教材研究して自分の足で単元開発をしていたので、自分の血肉なっている感覚があります。ちょっと懐かしいので、掘り出してみました。

元寇は平成21年のもの、マグロは平成20年のもの。なつかしい。

僕はこのときであれば、どんな概念レンズを使っていたのでしょうか? 5年の水産業「マグロ」であれば、「対立」「経済」「環境」のような概念レンズを使っていることがわかりますが、それを「マグロ」以外のものに一般化させようという意図はあまり見られませんね。子どもたちが他の水産業を調べたり、似たような構造になっている産業はないかという問いなどは見られません。今の概念型カリキュラムを学んだ自分なら、水産業のみならず、産業というものをマクロで捉えて、一般化できることが多くあることを発見できる構造にするでしょうか?

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トピック型単元と概念型単元の比較

この表はとてもわかりやすくて、よかったです。これは「植民地化および移住」という単元の一般化例です。両者の比較だけでも2つの違いは明確です。

トピック型単元の一般化

  • 15世紀から17世紀にかけての海を越えた探検をもたらした要因を分析する。
  • 13植民地の場所を示す
  • スペイン、イギリス、フランス、オランダからの初期の入植者たちの交流、および彼らとアメリカ先住民との交流を分析する。

概念型単元の一般化

  • 国家は地政学的な勢力と経済力を拡大しようとする。
  • 先住民の文化は、侵入してきた国家によって破壊されたり支配されたりする可能性がある。
  • 社会における信念や価値観を変えようとすることは統治政府との対立につながる可能性がある。
  • 文化は歴史上の出来事や伝統、価値観、ならびに信念によって形作られる。

概念型単元の一般化の方が、どの強化や内容にも当てはめられる汎用性がありますが、やっぱり難しいですよね。具体を知らないと、汎用されていても活用することができない。子どもたち自身が、自分の言葉で一般化をしていかないと、これは自分ものとすることができないでしょう。なので、帰納的学習で一般化を獲得することを次章で訴えています。

PublicCo / Pixabay

学習へのモチベーションが下がるのは、知識重視で、概念型の取り組みが行われなくなるからか?

低学年の時、学習のモチベーションが高かった子どもたちが、学齢が上がるに従ってモチベーションが下がっていってしまう原因は、高学年になると知識習得に重心が寄り、概念型への取り組みが蔑ろにされるからだと筆者は言います。

低学年の時には、具体的な事実を通して、「季節」「色」「動物」「家族」などの概念を頭と体の両方で習得していきます。ところがこれが、「温暖湿潤気候」「三原色」「無脊椎動物」「三親等」といった知識よりの情報ばかりになると、モチベーションが下がる、というわけです。

これについては、ちょっとわかりません。低学年の方が、学習する概念が生活に密着しているものがおおいので、自分の生活の中に転移しやすいというのはあると思います。自分の生活の見方が変わるような体験もあるかもしれません。

けれど、高学年になって学習する内容の解像度が上がって、より抽象度の高い概念が多くなると、それにモチベーションがついていかない子どもは多くいるように思います。生活と直結しない概念も多く登場するでしょうし、そもそも、言語能力に大きく左右されてしまう。概念をしっかり学習できるようにすればモチベーションが上がるというのは、ちょっと安直ではないかと。むしろ、やり方を間違えれば、抽象的な空中戦が多くなってしまい、その議論についていけない言語能力が未発達な子どもは、余計にモチベーションを下げることもあるのではないでしょうか。あまりに概念や抽象的な言語を使いすぎるのも乱暴なような気もしています。

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