読書家の時間ができるまで

大人の社会科見学

『クイズ世界はSHOW by ショーバイ!!』で「何を作っているのでしょーか?」というクイズがありましたね。懐かしい。逸見さんが司会をしていました。原材料から最後の商品に至るまで順番にVTRを見ていって、この生産ラインが何の商品になるかを当てるクイズでした。

今回はそれにならって、読書かの時間ができるまでを写真で紹介していきたいと思います。

先日、製本の過程を勉強させていただいた中永製本所の田中社長に、写真をご提供いただきました。お忙しい中、私たちが見学にお伺いしてお世話になった上に、さらに今回、写真を撮って送ってくださったこと、普通では経験できない本当にありがたい話です。この場を借りて厚く御礼申し上げます。

株式会社中永製本所
株式会社中永製本所は並製本(ソフトカバー)を中心に製本しています。判型はA6判(文庫)~A4変判まで、綴じはアジロ無線・カット無線・糸綴りに対応しています。小ロットでもご相談ください。
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① 裁断

フォレストさんから送られてきた、大きな紙。これを裁断します。上の写真の小さな穴からは、空気が出ていて、台全体が細かく振動しています。エアホッケーのように、紙が滑って、トントンしなくても、紙の端がピタッと揃います。これクラスに1台あったら、便利かも。

この大きな紙を折ると、小さな本になります。この折った小さな本を、全ページ分、重ねることで、1冊の本になります。1ページごとに裁断しているわけではないというのがポイント。

上の裁断機で、ズバッと切ります。絶対に指を入れてはいけません。ボタンを両手で2つ押すことで、手がカッターの下にいかないようにしています。うちの学校の裁断機も同じですが、これはとにかく、でかい。

② 紙折

裁断の後、紙を折る作業だと思います。

紙折機も見たことないくらい大きな機械で、しかも轟音でした。職人さん達、本当にありがたいです。写真がないので、次へ。

③ 帳合

そして、下の巨大な帳合機です。

上には折った紙が並べられています。

そして、このように折られた紙を置いていきます

1枚1枚、帳合していきます。

折られた紙が、束になり、きちんと並びました。背に黒い印がついていますが、この印が階段状に並んでいると、正しく並べられたことが確認できる仕組みになっています。

④ 糊付け

先ほどの束の背に糊を付けます。これ、家庭用の製本機だと、一番難しいところですよね。

表紙です。

この表紙と、先ほどの糊付けされた本体の方を、糊で接着しました。

⑤ 三方裁断

表紙と本が接着された本の束です。よく見ると分かるとおり、ページの端がギザギザで、これでは読みにくいですね。

そこで、上からプレスして、左、右、正面の三方を裁断します。

ほら、綺麗になりました。

⑥ カバー、帯、スリップ、梱包

青いのが帯ですね。白いのはカバーが裏返しに置かれています。このマシーンの上には、スリップ(新品の本に挟まっているしおりのような商品発注カード)が置かれています。

このように、カバーと帯を本に巻きます。

本を自動で開いて、スリップを入れています。

やっと本の完成です!!

本を梱包します。

職人さんたちのおかげで、ここまできました。

どこの書店に届くのかなあ。

たくさんの本達です。書店などで棚に並べられるのかなあ。僕も昔書店でアルバイトをしていたので、そのご苦労は少しだけ分かるつもりです。

完成

というわけで、本というものは、このようにできるのですね。

今回、製本所のプロセスだけを手短に紹介しました。

けれど、筆者が書いて、出版社が編集して、印刷所で校正して、また筆者に戻して、これをぐるぐる回し、校了するという過程を踏まえた後の、この製本の仕事です。取材から始まると、本当に多くの方々が、1冊の本に携わって、それぞれの思いで仕事をし、本の形として生まれます。

中身はさることながら、本というもの自体も、大切に扱わなければなりませんね。僕自身も「本を踏んではいけない」と、おばあちゃんから教わりました。やっとこの年になって、本当の意味に近づけたように思います。

「改訂版 読書家の時間」を作ってくださった多くの方々、そして、これから手に取って読んでくださる読者の皆様、この社会の本に関わる全ての皆さんに、感謝です。

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