第1章『思考する教室をつくる概念型カリキュラムの理論と実践』

思考する教室をつくる

『思考する教室をつくる概念型カリキュラムの理論と実践』を読んでいます。積読していたので、いまさら感ありますが、呼ばれた気がしたので読み始めました。

第1章 思考する教室

知識同士、スキル同士を結びつける

CBCI (Consept-Based Curriculum and Instruction) で、日本語で言うと概念型のカリキュラムと指導ということになります。概念とは、知識やスキルをより抽象化したり一般化したりして事実と事実、スキルとスキルを結びつけるような働きをしています。

例えば、1、2、3、4を学ぶことで、数字という概念を習得しますし、僕が勝手に日本の社会科を例に取ってみれば、弥生時代のムラ同士の争い、源氏と平家の戦い、戦国大名の戦を学ぶことで、「支配が広がって利権同士がぶつかると戦になって多くの人が犠牲になる」という概念を理解します。

概念を学ぶと、知識やスキルをつなぐパターンが見えてきます。例えば、弥生時代のときには治水権や土地を巡ってムラ同士の争いが起きたけれど、源氏と兵士の争いは何を巡って争っていたのかな? と、場合によっては単元を超えて、知識と知識、スキルとスキル、概念と概念を結びつけていきます。

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他の知識に、概念を転移させる

すると、知識と知識との間にある共通の概念を理解することにより、また新しい似たような知識に出会っても習得した概念を当てはめることで、理解を転移させることができます。上記の例を使えば、「支配が広がって利権同士がぶつかると戦になって多くの人が犠牲になる」のような概念理解を転移させて太平洋戦争を考えた場合、「何を求める利権がぶつかって戦争になったのかな?」と概念を転移させて考えることができるようになります。

このようにして、子どもたちがより概念的な理解を深めるために設計されたカリキュラムを、概念型カリキュラムというそうです。

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日本は「問題解決場面や日常生活」に転移 CBCIは「他の学習に転移」?

日本の知識・理解の「理解」という言葉も、きっとそのような意味で使われているのでしょうが、僕自身はそこまで言語化できていませんでした。日本の「理解」は「問題解決場面や日常生活に活かす」という意味合いが強いように思っていますが、CBCIは、より知識同士、スキル同士、単元同士を結びつける(転移)抽象的な理解力を高めているように思えます。日本の指導要領もそうしたねらいで組まれているものなのでしょう。

ただ、教師がそのような概念や転移、パターンなどを意識しないで指導していたのでは、子どもが概念を理解するわけがありません。単元の中にあるキーとなる概念は何か、単元と単元を結びつける概念をどう言語化するか、と教師自身も概念レンズで学習を見直していく必要があります。

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概念レンズで学習を見つめ直す

概念を通して学習を見直すツールとして「概念レンズ」というものが例示されています。「対立・信念/価値・相互依存・自由・アイデンティティ・関係・変化・視点・権力・システム・構成/機能・デザイン・ヒーロー・影響力・複雑性・パラドックス・相互作用・変容・パターン・起源・革命・改革・影響・バランス・革新・才能・実用性・創造性」などが挙げられています。

転移を意図的に起こすということが、CBCIの特色です。例えば、「対立」というレンズや「ヒーロー」というレンズで、小学校社会科6年生を見通したときに、抽象度の高いより一般化された概念(マクロ概念)が見えてきそうです。また、「遠い転移」として、電気系統の知識を使って、循環器系の動脈や静脈の仕組みの理解をするなどが、第1章の中に例示されています。

僕が思いつく「対立」や「ヒーロー」以外にも色々概念レンズのワードがありますが、ちょっとイメージできないものもあります。具体的に概念レンズを使って見えてくる学習の全体像の事例を、もっと聞いてみたいところです。これからの章で登場することを期待しています。

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