風神雷神はなぜ笑っているのか (対話による鑑賞完全講座)読み終わりました。

大人のための読書記録

今までリーディングワークショップを通じて、学習者中心主義的な手法の考え方やその実際を聞きかじってきましたが、この本はそれを美術教育や鑑賞の立場から説明しているので、同じ理想の考え方を、今までとは違う美術の言葉で語られたものとして、新鮮な印象を受けました。
読解と鑑賞は根底は一緒であると思います。自分とアート(または、本)との間に意味を作り出す創造的活動を、いかに学習者自信の手で開拓させ、その喜びを共有し、教師がサポートをしていくか、発想は同じであるように感じました。
理解不足でもあえて言えば、さらに一人一人の学習者自身の自立を大事にしてもいいのかと思いました。30人から40人の対話は、本当に対話と定義していいのかは分かりません。小さなグループで継続的に探求していくデザインがあってもいいような気がします。また、後半は、鑑賞感想文的なものを、子ども自身が選択していけばいいのですが、「やらされ」になると、主権は圧倒的に教師がもつということになります。T-C分析も継続的には難しいです。
それにしても、自分との間に意味を作り出すということを大事にした実践が、いろいろなところで噴出していることから、これが自分の周りだけの潮流でないことに勇気づけられます。教科の柵を超えて、本当の学習とは、本当の授業とは何か、再考する機会をいただけました。

P37
こうした実証主義による文献学的研究は19世紀までに発達を極めたが、作品そのものではなくその周辺の研究に邁進するあまり、その方向は次第に作品から遊離していった。…いったい文学を文学として読むことの意味はどこにあるのだろう。
◎RWは本と自分とのつながりの意味を作り出す学習。対話型鑑賞は絵と自分とのつながりの意味を作り出す。社会科ワークショップは、社会と自分とのつながりの意味を作り出す学習。では、社会とは具体的にはなにか。

P41
岡倉天心のことば
「もっとも、修養によって美術鑑賞力は増大するものであって、われわれはこれまでは認められなかった多くの美の表現を味わうことができるようになるものである。が、畢竟するところ、われわれは万有の中に自分の姿を見るに過ぎないのである。」

P47
粘土で戦車を作らせたり戦艦や戦闘機の絵を描かせるなど、戦時色の濃いものとなっている。美術の授業は一変した。まさに教育は社会を映す鏡である。社会は教育を性格づけ、教育は社会を表現したのだ。

P68
社会は教育を性格づけ、教育は社会を表現する。社会が変われば教育も変わる。20世紀初頭、世界の工業社会化とともに導入され、近代の学校を特徴付けてきた画一性と効率性は根底から問い直され、学ぶことの意味が問い直されなければならないとされた。学校での学びのあり方の再構築に向けて、教育原理や学習理論は変容を求められたのだ。その中核的役割を果たしたのが構成主義の学習理論であり、認知心理学の発展であった。
学習活動としての対話による美術鑑賞が目指す意味生成とは何かというと、それは集団で探求する学習の中で地の相互作用がなされ、知識を構成していく過程を指す、その基盤には、学習を子どもが知識を構成していく過程と捉え、それは共同体の中での相互作用を通じて行われるものととらえた構成主義の学習理論がある。

P81
スタッフたちはアレナスの研修を通して、作品と向い合って自分が考えたこと、自分の中に沸き起こる感情を話すことがとても気持ちの良いものであり、面白いものであることを学んだ。
◎本について語ることも、自己の解放を感じる清々しさがある。言葉に出来なかった思いが、対話を通じて解放されていった感覚。子どもたちはこれを味わっているのだろうか。

P84
学校の授業は学習目標の達成を目指して行うものだが、枝葉の意見を刈り取り、一直線にゴールを目指すものではない。作品の解釈が深まればそれでよしと思っていたら大間違いだ。授業は集団の学びの場であるとともに、一人ひとりがその子自身の今を生きる場でもある。教育者とはこの両側面に目を向けられる存在である。
◎「今を生きる場」とは?

P85
作品を見て自由に語り合うだけなら娯楽であって授業ではない。・・・しかし、学校の授業では鑑賞と表現を結びつけたり、作家や作品の情報を活用したりすることも必要になる。美術の教科固有の内容やカリキュラムの視点がない活動は教科の学習としてではなく、特別活動や「総合的な学習の時間」の活動と捉えるほうが妥当だろう。
◎自分自身の問題点か?それともRW自身の問題点か?本を読んで自由に語り合うだけなら、娯楽なのか?授業とはなにか?こちらの狙い通りに子どもを育てることか?

P111
対話による美術鑑賞では知識を教えないと思っている方は以外に思うかもしれないが、トークのねらいや相手によっては、このように知識を提供する。

P112
Q1見えたものは何ですか?書いた答えを折って隠し、隣の人に回す。Q2聞こえたものは何ですか?Q3匂うもの。Q4感じられるもの。Q5味わうもの。最後には5人の書いた答えが一枚の紙に集まっている。手元に来た一枚を広げて「順番を考えてつなぎ、文章にしましょう」
◎使える!!

P126
学習目標への到達の精度、つまり集団としてどれだけ作品解釈が深まったかということは大切ではあるが、それを最優先するのではない。生徒一人ひとりに目を向け、個々の思いや感じ方がどれだけ深まり、広がったかを重視するのである。集団の意味生成を最優先すると気の利いた意見をいう生徒だけが活躍し、時間のかかる生徒や寡黙な生徒は捨て置かれる運命になる。個別・ワークシート・授業後に言えなかった意見を…

P131
参加者たちは、ブラウンの絵画に関して自身の誤った結論に達するしかない。大きく逸脱した会話を導くような手段を美術館教育者にとらせるいかなる方式にお、私達はしっかりと疑問を抱かなくてはならない。とくに、その結果になんの責任も生じないような方式には。」
◎では、大きく逸脱した会話と個性的な解釈の判断はどこで行う?

P170
このような形式の授業を続けていると、生徒は「先生はなんでも知っている人」だと思い込んでしまうだろう。
◎ただ、今となっては、自分の考えもあるが、先生の考えを知りたいという立場になる。今となってはか・・・

P181
「対話」には知らない者同士が言葉を媒介にして考え方や感じ方の共通点や差異を確認し、相互に理解しあおうとする性格があるからだ。
◎知らない物同士の対話こそ対話。

P195
「これは何だろう?」・・・もの
「どんなことが起こっているのだろう?」・・・こと

P208
繰り返しは、対話を促す上で不思議なくらい効果的な働きをする

P223
評価。。。

P231
T-C分析表
◎続けられない。。。

P237
◎教師の役割とはなにか?

P239
美術感想文
◎しない・・・いい子適応力抜群に高い。

P253
まとめ
◎まとめの意味は?価値は?(子どもが)(教師が)成果を作り出したい?安定したい?

P278
◎とつぜんの「市民」

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