永田台小学校3つ目 講師として横浜に初襲来する岩瀬直樹先生が永田台の授業を見て何を発信するか

授業参観

先日、永田台小学校の公開授業に行ってきました。

関心事を次の3つ。

 

1,旧態然とする研究授業スタイルを、永田台小学校ESDというフィルターを通して、永田台はどうやって先生たちが探求を深めていっているのか。その先生たちのもつ空気はどんな感じなのか。
2,自分の実践以外のブッククラブというのは、実際に見たことがなかったので、他の人のつくるブックラブを見てみたい。
3,講師として横浜に初襲来する岩瀬直樹先生が永田台の授業を見て何を発信するか?

HoliHo / Pixabay

3,講師として横浜に初襲来する岩瀬直樹先生が永田台の授業を見て何を発信するか?

 僕が岩瀬先生と出会ったのは、もう8年前になるでしょうか。

「作家の時間」が出版され、「リーディング・ワークショップ」「読書家の時間」を作り上げようとするチームに、吉田新一郎さんから誘われて、僕が参加したことがきっかけです。そのチームに岩瀬先生もいらっしゃいました。失礼ながら、まったく存じ上げませんでした。そのチームは、ニックネームで呼び合うチームで、岩瀬先生は僕にとっては「ゴリ」でした。
あの頃は自分も教師生活4・5年目くらいで、絶好調だったりブランクに陥ったり、気分の波も激しく、グラグラしていた時期です。
ゴリは「読書家の時間」を自分なりに先行して実践されているということで、ゴリの実践を写真や報告をみるたびに、衝撃を受けました。子どもたちがなんといきいきと学んでいることか!そして、先生が本当にのびのびと実践しているわけです。とにかく、子どもたちが楽しそう。不思議で不思議で仕方がありませんでした。なぜだろうと。
うそなんじゃないかと思ったこともありましたね(笑)あの頃の自分の教室の姿からは、想像もできないぐらいに充実した子どもたちがゴリの実践から見られるわけです。同じ仕事をしているとは思えませんでした。当時、学ぶということはどういうことなのかを、根底から覆されたように思いました。

 

今の僕はゴリに近づけているのでしょうか。

あの頃よりは、良くなっているとは思います。ゴリをモデルに頑張っていましたからね。あの当時、最先端の教育実践をネット上でやりとりしたり、会って意見を交換したりすることは、なんと幸せだったのでしょうか。数メートルも先ゆく先輩のエッジの利いた実践を、いつでもどこでも直接やり取りできる環境にいたわけですから、自分も相当に変容したのだとおもいます。

さて、永田台小学校で岩瀬先生は自分の実践を中心に話されました。僕は岩瀬先生の「追っかけ」の一人であったわけなので、どの実践もだいたい「分かる」という状態でした。(「分かる」と「できる」は天地ほどの差がありますが。。。)
それでも、やっぱり心が動いてしまうんだなあ。なぜなんでしょう。

Brida_staright / Pixabay

それは、物語だと思います。

研究者という仕事は、理想の考えを示せるし、現場とは少し離れてサジェスチョンすることで、現場のしがらみから逃れて、無理難題を承知で助言をすることができる。(そういう意味では、こちらの現場のしがらみを考慮して助言するような研究者は、もっとその立場から見える教育観を提示してほしいわけだけれど。)けれど、昨年まで実践家だった岩瀬先生には、その理念を具現化するエピソードがたくさんあるわけです。すごいなあ。自分の実践をつぶさに記録しておき、自分の理念を物語るエピソードをたくさん持っている。僕は今までそのエピソードに何度揺さぶられてきたことか。

岩瀬先生は学芸大の准教授になられて、僕は同じ教員ではなくなったことに少し寂しい思いでいるのですが、絶対に発信力は増し、理念ももっと洗練されたものになるはずだろうなあと、期待は変わりません。その理念に、僕ら実践家がどれだけ物語を紡ぐことができるのか、リアルな世界で理念を実現させることが出きるのか、それを生み出せるのが僕ら実践家の夢なのだと思います。

岩瀬先生のプレゼンから登場するものは、すべて、子どもたちを幸せにするものでした。「子どもたちの学力を定着させる」という四角四面な感じではなく、「よりよい(人生の)旅をする人を育てる」感じです。プロジェクトワークショップに言葉を思い出します。「良い作品を作る」のではなく、「良い作品を作れる子を育てる」のでもない。「よりよい読み手・書き手を育てる」ということです。
目に見える学力や態度を批評することは簡単です。目に見えないその子の本質に、間違っていないと自信を持って実践していけるってすごいなあと思います。ご本人は、質問した太一くんに「自分も迷いながらやっている」と話していましたが、迷いながらも確信を持って、あえてぼんやりとした本質にストレートに切り込んでいく実践がすごいと思います。

MabelAmber / Pixabay

 

今回の岩瀬先生の言葉でもっとも印象に残った言葉はこれ。

「今の教室の有り様は、20年後の社会の有り様」
この言葉は重いです。僕らは未来を育てる仕事をしているんだなあと身の引き締まる思いです。今も封建社会のようなクラスを作っていたら、20年後は封建社会になってしまうでしょうね。おそろしい。僕たちは、どんな未来を築いていきたいのか、誰かの(教育委員会や文科省の)スタンダードに乗るのではなく、自分自身で具体化していかないといけないのかもしれません。その集積が、20年後に未来になる。

ああ、最初の目次の3つの中で、もっとも書くのが難しかったです。
最後のゴリが昔、桜木町の万葉の湯で言った言葉を思い出したので、それを書いて置こうと思います。
「一緒に日本の教育を変えよう」
今でもそれを宝物にして、目の前の子どもたちが「よりよい旅人」になれるように、がんばっています。

いわせんの仕事部屋

 

 

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