義務教育をブロックチェーンにするとどうなるだろう?

大人のための読書記録

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すべての子が義務教育の時代

特別支援教育を学んでいて、自分が生まれた年の1979年はキーワードです。養護学校の義務制が1979年にやっと義務化されました。驚きです。義務教育が1947年から始まったのと比べると、特別支援教育はそこから32年余計にかかったことになります。この年に、義務教育の形が整ったことになります。

しかし、義務教育に両手を挙げて喜んだわけではなく、特別支援教育の中でも最先端の保護者は統合教育運動に反対の立場を取る人もいたそうです。

放送大学の特別支援教育基礎論の教科書の中に、文部省初等中等教育局特殊教育室の室長だった辻村泰男さんのコメントが紹介されています。1970年台の日本の統合教育運動の一端です。

最近は養護学校の新設に反対の声があがるのは、何と障害児をもつ父兄の間からだ、という話をきく。その理由は障害児も通常の学校の、通常の学級で教育されるべきで、これをことさらに特別な学校に就学させるのは差別である、という主張にもとづいているのだという。

日本型インクルーシブについて、考えてみた。

すべての子を、中央集権的な教育網ですくい上げて貰いたい時代。けれど、その時代でさえ、いろいろな考え方があり、いろいろな立場があり、それでも義務教育の一本化に向けて、立場を交えて、文科省や日本がすべての子どもにとっての良い教育について考えを巡らす時代であったように思います。

そして、今もそう。新しい指導要領が出る度に、現場の教員は右往左往し、右へ行けば指導が大事、左へ行けば探究が大事と、這い回っています。

そもそも、親であれば、子どもの学びは性格や好みと同じように、一人ひとり固有のものであるということは、自明のはず。良い教育、良い学習というのは、子どもの数ほどあります。あの子にとって、よい学習は、この子にとってはうまくいかない。

けれど、「最大多数の最大幸福」的な授業が良しとされて、実はその平均顔の授業にうまく当てはまれた子は、全体の1・2割しかおらず、残りの8・9割の子どもは、環境さえ整えば、さらに伸びることができた子ども。悪い結果で言えば、「最大多数の最大幸福」的な授業で、落ちぶれていってしまう子どもの存在も確実にあるのではないでしょうか。

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ホームスクーリングにより個別化された教育が進む?

僕は、20年後には、確実にホームスクーリングが広がっていたり、もしくは、現状の認定こども園のように、小規模スクーリング施設があちこちに開設され、そこに子どもたちが小規模でスクーリングするような未来を想像しています。

オランダでは、教育観、宗教、文化などによって、義務教育段階でも多様な選択肢があり、保護者や子どものニーズに応じて、小学校を選べるようなシステムがあります。たとえば、「内省的な子だから先生がしっかりリードして教えて欲しい」という家庭であれば、そういう学校を選べる。「外向的な子だから探究学習を中心に学ばせたい」という家庭であれば、それを掲げている学校を選べばいい。地域によって差はあるものの、選択肢が提供されているそうです。

アメリカでは、現在でもホームスクーリングの潮流が到来してきていて、ホームスクーリングの家庭のためのネットワークやコミュニティが成立しています。オンライン上で適宜学習的な支援を受けて、ホームスクーリングをしている子どもたち同士で、やりとりがある。家に居ながら、学習が成立する。

日本では、ホームスクーリングは現状の学校文化に馴染めない子が仕方なく行っているというネガティブなイメージがありますが、外国では、家族の時間や自分の時間を大切にしながら、学習も成立させる方法として、一つのポジティブな地位を作り上げています。

一つの教室に子どもたちが集まってでしか、学べないこともあるだろうし、それを否定するつもりもないですが、日本の学校文化は、あまりに単一的で直線的すぎやしないでしょうか。

ブロックチェーンがさらに発展して、学習状況や成績が安全に、非中央集権的に管理されるようになり、それで義務教育を満たせるというような法改正が進めば、ホームスクーリングというオルタナティブ教育は、かなり重要な位置になるような気がしています。もちろん、イエナプラン校や従来の日本型教育も選択肢に入ってくる。そうなると、子どもや保護者の思いに合わせて学校を選択できるようになり、より多様化した社会として生まれ変われるのだと思います。

DAOとは、Decentralized Autonomous Organizarionのことで、文科省や教育委員会という中央集権的な組織ではなく、分散化された組織のことで、ブロックチェーンの上に乗っているので、相手が信用できないという問題が発生せず、プロトコルに則って、自立的に運営される組織のことです。

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ブロックチェーン革命

 

この本を読んで、自分の専門である教育や学習を考えた場合、僕の想像はこういうことになりました。この本は、ブロックチェーンについて書かれたもので、とてもわかり易く書かれていると思います。おすすめです。

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