「ファクトフルネス」で、自分の失敗と子どもたちをコントロールしようとする本能を振り返る

大人のための読書記録

『ファクトフルネス』

ファクトフルネスという本を読みました。最初は勢いよく良い、途中自分的にも中だるみがありましたが、最後はまたおもしろく読めたので、紹介します。

nature animals zoo young

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チンパンジーでも3割解けるクイズ

冒頭は、10問のクイズから始まります。世界の情勢についてのクイズですが、ぜひ、答えを見ないでチャレンジしてください。以下のリンクには英語の問題がありますが、日本語のものこちら

Important stuff most people get wrong
Gapminder Worldview Upgrader - Get rid of your misconceptions about global development!
『ファクトフルネス(FACTFULNESS)』チンパンジークイズ
世界の事実にまつわる12の質問にチャレンジ

自分は6問解けました。どうも、3択名ので、チンパンジーでも33%は解けるらしいです。なんかやっているうちに、なんとなくこの本の趣旨が薄く見えてきて、答えを修正してしまいましたので、僕はチンパンジーよりも正答率が高かったですが、もし、挙手制であったら、おそらく2割ぐらいだったかもしれません。間違いばかりでも、とてもおもしろいものです。

クイズからもわかるように、この本の一つの趣旨は、過去の世界の見方をアップデートして、事実に基づいた分析をしようというものです。ただし、それだけならば、この本以外にも主張している本はあるはず。この本の趣旨は、もうひとつあります。

baby holding person s index finger

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どうしてわたしたちは、間違ったものの見方をしてしまうのか

それは、「わたしたちはどうして物事の見方を間違えてしまうのか明らかにしよう」ということ。「ファクトフルネスを鍛えて、もっと素敵な自分をつくろう」というものです。

古来の人間は食物連鎖の中にあり、本能的に行動することで危機回避をすることができました。けれど、現在の人間は古来の人間が直面していた危機から解放され、それに代わって、現実検討して思考し、判断することが必要になってきています。人間が古来からもっている本能と上手に付き合って、コントロールしていかなければなりません。

selective focus photo of magnifying glass

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物事を間違って捉えてしまう本能リスト

  • 分断本能 (大半の人がどこにいるかを探そう)
  • ネガティブ本能 (悪いニュースのほうが広まりやすいと覚えておこう)
  • 直線本能 (直線はいつかは曲がることを知ろう)
  • 恐怖本能 (リスクを計算しよう)
  • 過大視本能 (数字を比較しよう)
  • パターン化本能 (分類を疑おう)
  • 宿命本能 (ゆっくりとした変化でも変化していることを心に留めよう)
  • 単純化本能 (1つの知識がすべてに応用できないことを覚えておこう)
  • 犯人探し本能 (誰かを責めても問題は解決しないと肝に銘じよう)
  • 焦り本能 (小さな一歩を重ねよう)

うえのリストごとに章立てされているのですが、自分の先生としての失敗やそれ以外の忘れたい思い出などとも、しっかりリンクすることに驚きました。

そう、つまり、この本は、現在の世界の新しく捉えなおす本であるのと同時に、自分自信を見つめ直す本でもあるわけです。

photo of woman looking at the mirror

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自分自身の教師としての失敗を見つめる本とは?

例えば、子どもたちの成長を直線的に計画することで、子どもたちの現状を捉えずに無理に背中を押しすぎる強引な投げかけをしてしまったり(直線本能)、または、お金や時間がないことに極度に怖がってしまったり(恐怖本能)、さらには、学校に来れない子どもたちの原因を明らかにしようと躍起になったり(犯人探し本能)。

自分が教師としても人間としても失敗してきたものを、自分の本能と関連させて考えることで、自分はどの本能にコントロールされてしまっているのか、どの本能に依る思考に注意しなければならないのか、振り返ることができるのです。

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子どもたちをコントロールしようとする本能とは?

さらには、自分が無意識に子どもたちの本能を利用することで、コントロールしようとしてしまっていることにも気づくことができます

たとえば、いつやるの?今でしょ!!と言ってみたり(焦り本能)、危機的な情報を大きくして切実感をもたせてしまったり(ネガティブ本能)。教師であれば、誰しも意識的にも無意識的にも、子どもたちの本能を利用することで、コントロールしてしまっているのです。

自分自身の失敗を分析すること、自分自身の子どもたちとの関わり方を見つめること、僕はこの2つの視点でこの本を楽しむことができました。

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著者 ハンス・ロスリング

筆者は、ハンス・ロスリング。世界的な公衆衛生学のスペシャリストで、TEDでも常連の方です。

途中、中だるみをしてしまったのは、筆者のサイドトークが盛りだくさんで、思考の流れがつながらなくなってしまったところもありました。(そして、自分の時間がなかった。)けれど、そのサイドストーリーが、筆者の人柄を感じさせたり、余談的に書かれている公衆衛生学のプロとして活躍した話を楽しめたり、この見えない本能を明らかにする本に、視覚的な物語性を与えることにつながっています。

 

 

追記

この下のリンクのGapminderのHPは相当におもしろいです。とくにこのバブルチャート。

開発教育が指摘しないポジティブな世界の見方を与えてくれる可能性があります。レベル1〜レベル4で経済状況を判断する見方も、僕はとても賛同できます。

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