『崩壊するアメリカの公教育』『戦後教育史-貧困・校内暴力・いじめから、不登校・発達障害問題まで』

大人のための読書記録

2冊の本ともとても良い内容でした。

人間を育てる教育の営みの中に、経済合理性の波が侵食していっている様が、この2冊で本当によくわかりました。日本の教育が、崩壊したアメリカの教育の軌跡を追っているようで、とても心配です。

教員の輸入の問題、日本の介護の現場にもフィリピンから多くの労働者が入ってきているそうです。日本の教育も本当にそうなりかねません。AIドリルとか使って、マニュアル化された学習を行なっていれば、どんな人でも先生をできてしまいそうですから。教育とか介護とか、国の根幹を支える仕事を自国のマンパワーでなんともできないことに憂いています。(他国の方が日本人がやりたがらないエッセンシャルワークを担っていることに感謝しかありません。しかし、それだけではいけないということです。)

PISAをめぐる問題も、アメリカにある多国籍企業が暗躍しているそうです。どの世界でも一部の支配層が富や権力を集中的に掌握し、それを人権や環境というオブラートに包んで、自分の存在を見えないようにして支配しています。こういうのも、ちゃんと私たちは気づいていないといけない。日本の学力テストも、近い構造です。

教育というのは、数字では表せない人間的な営みです。それをしっかり言葉に表して、子どもや保護者に価値を伝えていく仕事が、先生なのだと思います。数字という魔法を乱用して、価値観の対立という煩雑さを回避し、そのツケを後回しにしていった結果、今の学校や教室の姿があるように思います。

『崩壊するアメリカの公教育』

『戦後教育史-貧困・校内暴力・いじめから、不登校・発達障害問題まで』

 

 

 

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