学習の雰囲気作り Differentiated instructional strategies chp.2

一人ひとりを生かす指導法 Differentiated Instructional Strategies

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Differentiated instructional strategies chp.2

Creating a Cllimate for Learning

 学習の雰囲気を作るということで、この章では、Differentiated Classroomに必要な学習の人間関係づくりやマインドセットについて書かれています。

WHAT DO LEARNERS NEED TO SUCCEED?

They need to know that they belong in the classroom and that they are responsible for their own learning and behavior. This develops a self-directed learner who is confident in making the information his or her own.

— AkihiroTomita (@AkihiroTomita) 2017年11月30日

「自分の学習や行動に責任をもつということを知る必要がある」という考えです。筆者は、このような子どものことを、self-directed learnerと呼んでいます。自分で学習の方向性を決められるとは、本当に素晴らしいことですし、子どもも自分の選択に責任が伴います。しかし、Differentiated Classroomを継続させていくためには、これが必要だと筆者は言います。
Effective teachers believe that there is potential in each learner and commit to finding the key that will unlock that potential.

— AkihiroTomita (@AkihiroTomita) 2017年11月30日

 コミットできればポテンシャルのカギを開けることができる。そのキー探しが先生(子どもも)のお仕事。先生とは本当に素晴らしい仕事ですね!!
Teacher Mindset
 ここでCarol Dweck(2006)のマインドセットの紹介が出てきます。僕はこの本を読みました。(今新版が出ているんですね。教育関係の方は必読です。)
 こちこちマインドセット(fixed mindset)としなやかマインドセット(growth mindset)の話。教師がしなやかマインドセットをもつことで、子どもたちもポジティブに考えたり、困難に立ち向かえたりするマインドセットを育むことができると言っています。

CLASSROOM CULTURE AND LEARNING COMMUNITIES

継続させたり、励ましたりするときの言葉がけ集がかっこいいです。

Feedback to success

  • Great effort
  • Well done
  • You did it
  • Your practice paid off
  • I knew you could do it
  • You’ve hit the mark
  • Aren’t you proud of yourself
  • You’ve got that down pat
  • Nice going
  • I never doubted you

Feedback to Encourage

  • You’re on the way
  • Keep practicing
  • Keep trying
  • You’ll get it
  • One more time and you’ll have it
  • I know you can
  • You will
  • Don’t stop now
  • you’re on the right track
  • Keep on trucking
  • Try, try, try again
 映画の教室のシーンを彷彿させます。日本語にすると、いまいちかっこいい感が薄れてしまうので、敢えてしません。とくに、僕はencourageの方がぐっと来ました。こういう言葉がたくさん使える先生になりたいものです。
Teachers can make their classroom more thoughtful places by demonstrating in their actions that they welcome originality and differences of opinion.

— AkihiroTomita (@AkihiroTomita) 2017年11月30日

教師が日常的に心を整理して、多様性を歓迎し、学習の本質はプロセスであることを態度を持って示すこと。それに尽きると思います。小手先の発問、板書、ワークシートは、微々たるもので、幹はこうでなくてはなりません。

Classrooms everywhere must foster an inclusionary climate. It is essential that students bond with on another and with the teacher to form a positive learning community.

— AkihiroTomita (@AkihiroTomita) 2017年11月30日

 Differentiated Classroomは、インクルーシブ感覚を育てることができる。前向きなラーニングコミュニティを築くことで、子ども同士、先生と子どもをつなげていくことが大切。だそうです。

–>  Learning Communityというものが学校にはないですね。Differentiated Classroomでは、個のために、コミュニティがある。私たちの教室では、コミュニティのために個が奉仕しているイメージをもっています。コミュニティの存続や向上のほうが、個の向上よりも優先されている感じです。個の向上ができるから、コミュニティが存続する価値がある。それは、Differentiated Classroomのように、みんながそれぞれのことを学習して、必要に応じて緩やかにつながりを持っているから、そのような個のためのコミュニティという考えができるのだと思います。

 クラスは家族という表現をよく見ますが、僕としては、家族だとちょっと近すぎる。やっぱり、ラーニングコミュニティなんだと思います。そこでは、自分の意志が尊重され、自分の責任をもつことができる。
 

Differentiated ClassroomのためのAgreemet, Trust Statements, or “Rules to live by”

  • There is no wrong opinion.(間違っている意見はない)
  • No put-downs or sarcasm here.(言い負かされないし、皮肉も言われない)
  • Everyone must be heard.(みんな必ずきいてもらえる)
  • Mistakes are learning points.(失敗は学習のポイント)
 

EMOTIONS AND LEARNING

 失敗してバカにされたり、心を傷つけられるような心配な状況では、よく学べません。命令的でなく、受容的な雰囲気のもと学習をすると、ポテンシャルを発揮できることを言っています。

 報酬を使わない5つの方法

  • 怖さを取り除く
  • しっかりとしたポジティブな雰囲気を作る
  • フィードバックを増やす
  • ゴールを定める
  • ポジティブな感情を活性化させる

 

Attending to routines, patterns, and clear expectations in the classroom lowers anticipantion anxiety that is created when students are uneasy about what to expect and the unknown.

— AkihiroTomita (@AkihiroTomita) 2017年11月30日

 

 作家の時間や読書家の時間に使われているサイクルと同じ発想です。「社会科の時間」でも、同じようなサイクルをユニットに応じて変えながら使っています。

EMOTIONAL INTELLIGENT

 筆者はDifferentiated Classroomを通して、以下の5つの力をつけることを提唱しています。関心・意欲・態度や学びに向かう力・人間性とくらべて読むとどうでしょうか。
  • Self-awareness(感情を感じたり、感情を名付けたりする力)
  • Managing emotions(再構成したり、振り分けたりする力、適切に感じたり、反応したりする力)
  • Self-motivation(やり続けたり、ゴールを設定したり、満足を先延ばしにしたりする力)
  • Empathy(他の人のために感じる力)
  • Social skill(感情の相互作用を読み取ったり、うまく使ったりすうのに使う能力)
 これらを教師がモデルとして示すためには、一斉授業では無理ですね。手を挙げた子が輝く雰囲気、よく答えられた子が目立つ雰囲気しか作れません。だから、悪く目立つことで承認欲求を得ようとする方に向いてしまう可能性があるのだと思います。

SELF-REGULATION

Teachers need to allow time for students to ponder and come up with their own way to learn the information. Another way for students to have control of their learning is for the teacher to provide choice.

— AkihiroTomita (@AkihiroTomita) 2017年11月30日

 考える時間、思いつく時間をしっかりととる。選択肢を作る。次のステップが分かるように示す。支援の方法が子どもが責任をもてる方向で示されています。
 とにかく、知識よりも、技能よりも、過言を恐れずに言えば、関心・意欲・態度よりも、自分の力で学びを進める力を身につけることを大切にしているといえます。先生が出したものを主体的受動の態度で学ぶのではなく、たとえ小さな一歩でも自分の足で学習を選び、進められる力をつけること。僕は、このマインドセットにとても共感しています。
It is up to the individual to decide to follow the rules or not. The decision of how to act is within his or her control.

— AkihiroTomita (@AkihiroTomita) 2017年11月30日


–>  やはり、個のためのルールであり、集団形成のためのルールではない。阿部謹也さんの世の中の捉えにもつながります。

阿部謹也さんの『「世間」とは何か』から簡単に。

 

 社会人になると、自己実現のために働いている感覚を持っている人は極めて少ないのではないでしょうか。教室の中に我慢していることが、会社の中に我慢していることに代わるだけ。
 自己実現のために働く。働くとは、自己実現を果たす手段であるということを、学校教育の段階でしっかり伝えたいですね。では、教師一人一人が、どのような実現したい自己や社会を抱いているのでしょうか。そのために、何を伝え、どんな教室をつくりたいと考えているのでしょうか。それを共有できているのでしょうか。
It is worth the time for teachers and parents to help students develop their self-regulatory competencies and encourage them to practice using them in all facets of their lives.

— AkihiroTomita (@AkihiroTomita) 2017年11月30日

 日本の子どもはいつまでも子どものままでいさせられているのかもしれません。

CLASSROOM CLIMATE

Learners know that learning is a process and everyone learns differently. Learning includes weeding out what students know with effective pre-assessments and ongoing formative assessments to determine what students need next.

— AkihiroTomita (@AkihiroTomita) 2017年11月30日

This policy establishes a different mindset of being able to admit mistakes, accept lack of understanding, and celebrate successes and growth in an individual’s knowledge base.

— AkihiroTomita (@AkihiroTomita) 2017年11月30日

 この章でこの部分に僕はかなり揺さぶられました。学習はプロセスであることを子どもたちがしっかり自覚していて、お互いを尊重している。プロセスを積んでいることをお互いに賞賛しあっている。祝っているんです。
 子どもにとっても教師にとっても、学習は、診断的評価・形成的評価によって、一人一人違う学習をしていることが当然なんですね。イエナプランのような異学年クラスも、異学年間交流で、子どもたちの民主意識が高まるのはこのためだと思われます。違いがあるからこそ、助け合おうとする。
 これをしっかり促進するために、子ども理解がありますね。子ども理解については、chp.3で扱います。

 

 この章の最後に、祝い方(celebrating learning)が載っていて、それがとってもユニークで面白いです。17個も紹介されているのですが、1個だけ紹介します。
  • Wow. With three fingers on each hand, make a W on each side of the mouth.Open mouth to form the O and say, “Wow!”
 これ、やりたいです。

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