Building a Classroom Ecosystem of Energy and Engagement
元気になって夢中になる「エコシステム」がある教室って、何か惹きつけられるタイトルですね。
Building a Community of Support and Encouragement
There was a follow-up study to the marshmallow test where the person in charge of giving the marshmallows was proven reliable or unreliable before the child was given the option of receiving one marshmallow immediately or two if he or she could walt.
That a child’s self-control, tenacity, and persistence are influenced first by their environment and the reliability and consistency of their caregivers.
マシュマロ・テストご存知ですか?
マシュマロをすぐに食べるのではなくて、食べないで待っていた子のほうが、テストの点数が良かったり、将来的にも収入の高いお仕事についているっていう、例のアレです。
つまり、この本で言いたいことは、マシュマロ・テストを受けた子どもたちは、検査者をどれだけ信頼できる人か、環境的にどれほど安心できるかによって、結果となる行動が変わってくるということです。つまり、教室で例えるのならば、マシュマロを待てない子どもが多いのは、学校や学年、そして教師という環境が影響をしているのでしょう!!ということです。
マシュマロ・テストは僕も聞いたことがありましたが、たしかに、マシュマロ・テストの検査者を被験者の子どもがどれだけ信頼しているかによって、マシュマロを待てるか待てないかが変わってきそうですね。
子どもたちを教師が信頼しているんであれば、マシュマロを待てる子どもたちは多くいるでしょうし、教師を信頼できないのであれば、教師に奪われないように目先のご褒美に飛びついてしまう子どももたくさんいるでしょう。
つまり、教師や検査者の信頼度によって、子どもたちのpersistance の力は変わってくるということ。環境次第で子どもたちの力は変わってくるということ。
とても大切です。
環境や社会的側面から影響を受ける子どもたち
これと関連しますが、WHOの国際生活機能分類(ICF)では、障害を、個人の側からだけでなく、社会的な側面からも捉えています。
つまり、遠くがよく見えないという障害は、個人の側から見れば障害ですが、社会的には眼鏡の発達で行動上の問題は起きにくくなっている。だから、障害と評価して良いものかどうかということ。同じように、車椅子もたしかに生活上不便なことも多いですが、合理的配慮がさらに進めば、学校施設をエレベーターで移動できるので、障害と評価されることも少なくなるかもしれません。
この考え方でADHDを捉えると、現在の教室環境という社会的な側面と折り合いがつかなくて障害として診断されているのであれば、社会の側の心理的障壁を取り除いてあげれば障害とはいえない状況になるかもしれない。(むしろ、恣意的に作られた障害という考え方も…。)
コラム:PAとコミュニティ
授業は発問技術や板書技術の時代から、コミュニティ作り、子どものニーズの把握の時代に緩やかに移り変わろうとしています。授業3.0です。信頼関係(コミュニティ)を作る技術は、今までの先生ならば特に必要としない技術でした。PAがこれだけ隆盛しているもそうですね。でも、PAも教師が中心に居続けるのであれば、本当のコミュニティ作りとは言えない。難しいところです。PAで足場掛けをした後は、その足場掛けをいかに緩やかに解除し、本当のコミュニティとして機能させていくかだと思います。PAは方法ですが、PAでなければ維持できないコミュニティでは、それは目標ではないです。
友達とつながるように声掛けする。
低学年の先生の言葉掛けの事例が出ています。
She might ask: “Where did that idea come from?” or “How did you learn to do that? or “What inspired you?” She then prompts children to notice, wonder, and hypothesize about how they are building on their classmates’ ideas, work, or play (67). By highlighting and fostering such conversations, Tonachel builds an ecosystem that deeply values and holds high expectations for collaboration.
先生は意図して、問いかけにより、友達とつながるように促しています。
- そのアイデアはどこから来たの?
- そうやってしたのは、どうやって学んだの?
- 何によって思いついたの?
言葉掛けや問いかけが、他の友だちとつなげるように促されています。一人の力で学ぶよりも、子どもたちはつながり合って学んでいることを前提にしているのでしょうね。これをエコシステムと呼ぶところもおもしろいです。
This expectation of responsibility and ownership is as though the teacher is stating, “This space is ours, to use and to care for.”
いくら紙や教材を用意しても、教師がもっとも大切な学習環境ということですね。責任ある立場だ…。
Teaching and Learning Through Play
遊びは教室のエコシステムを作る上で、とても大切だ、ということを伝えています。遊びは、休み時間の遊びに限らず、学習中の遊びを通した学びにも言及しています。
僕は、学習と遊びは明確には分けられないと考えいます。学習は遊びのように楽しいし、遊びは楽しく学ぶことができる。そのエコシステムを作るのは、プロの教師の仕事であるように思います。
(For every fifteen minutes of play, children tend to use a third of that time engaged in learning about mathematical, spatial, and architectural principles, according to Sarah Lewis [2014 157-58])
遊びの中でも、3分の1は算数的な活動で楽しんでいる、ということは、遊びの中だけでもかなりの算数を学習できてしまうということでしょう。カリキュラムの工夫によっては、遊びをかなり取り入れてできてしまいますね。
Understanding Development in Order to Create Just-Right Risks
出た!またヴィゴツキー。発達の最近接領域。英語の教育書には、必ず出てくるのでは?足場かけですね。
The skilled practitioner gives students just enough challenge to ensure successful struggle.
つまり、発達の最近接領域は子ども一人ひとりちがうので、熟練したお医者さんのように、子どもにどんなsuccessful struggle challengeをさせてあげるか、診断しなければなりません。難しいお仕事です。
「7歳の児童だから、かけ算」では、先生は子どもを見ていません。
In the powerful and joyful classrooms we have worked in, teachers had an ever-changing sense of what a child was working toward
変わり続ける子どもたちの学習に対応する感覚。素晴らしい言葉です。変わり続ける子どもたちに対応したカリキュラムや学習環境をつくって挙げなければなりません。画一的学習環境からあぶれてしまった子をADHDと診断するか、それとも排他的学校と診断されるか、いやいや、お互い変わっていこうよ!むしろ、学校もうちょっと変わろうよ、ということだと思います。
A sense of child development, a good curriculum, and careful kid watching.
この3つ、非常に共感します。特に、careful kid watchingは、もっと戦略的にやったほうが良いように思います。
Personalizing Instruction Through Workshop Teaching Structures
Such learning takes time, but one of the teacher’s roles is to maximize the efficiency of the time available, to provide many opportunities to learn the same ideas over time, and to ensure time is spent on learning and not merely doing “something.”
教師の役割が3つ描かれています。「単に何かをする」だけになってしまっているのが、往々にして教室の授業だと思います。時間はかかって回り道のようですが、結果的に本質的な学びとして着実に子どもは自信を付けられますね。
The workshop model of instruction can balance play and direct instruction, inquiry and scaffolded practice, creativity and choice, community and autonomy.
Each workshop begins with a focused lesson, where the teacher delivers direct instruction and provides an opportunity for guided practice.
これは実践する先生に示唆をする文章に思います。遊びと直接的な支援、探究と足場かけ、創造と選択、コミュニティと自律。
ワークショップへの批判は、「教えなくていいの?」がよくありますが、それは誤解で、かなり教えることもしばしばあります。けれど、ここでは「任せる」という区切りがはっきりしていることと、インストラクションは主に個人に対して与えられること。ほったらかしではなく、足場掛けも必要だし、ずっと一人読みだけさせててもいけない。
このイコライザーは実践者にはとても必要です。
They take time, careful planning, resources, a deep understanding of your content, and, possibly, a healthy dose of blood, sweat, and tears. When they do come together the result is magical — the energy and zest for learning in a workshop are unmatched, and as the cogs and gears of the workshop start humming, children gain more and more independence and autonomy in their own growth.
力強い言葉。健康的な血と汗と涙というのが笑えますが。僕はこの引用に勇気づけられます。
One key to a successful workshop is the teacher’s responsiveness to the needs of his students.
「教師は時計ではなく、コンパスに従う」という言葉を、オランダでイエナプラン研修を受けた友達から教わりました。まさに、これです。教師のコンパスをもつ。
はまちゃんの「ぼくが見たオランダという国とイエナプラン教育」から。
Sometimes responsiveness is carefully planned in advance, as when a teacher uses the formative assessments that are embedded in workshop instruction_ conferences, running records, rubrics, and exit tasks- to tweak and change his teaching based on his students’ needs.
前もって情報を揃えたり、即座に対応できるようにワークシートやハンドアウトを作っておかないと、responsivenessを発揮できないです。これを、履き違えないようにしないといけない。むしろ、responsivenessだけだと、ばらばらになると思います。
These continuous feedback loops are one of the most important drivers of student growth (Hattie and Yates 2013) and work hand in hand with the gradual release model.
gradual release modelこの言葉、素晴らしいですね。まさに、責任移行モデル。
then remove those scaffolds, always working toward independence and autonomy.
支援の解除、足場を少しずつ取っていく作業。これは、教育現場にはあまり考えがありません。足場かけっぱなしです。
the most creative environments in our society are not the kaleidoscopic environments in which everything is always changing and complex. They are, instead, the predictable and consistent ones – the scholar’s library, the researcher’s laboratory, the artist’s studio. Each of these environments is deliberately predictable and simple because the work at hand and the changing interactions around that work are so unpredictable and complex. (1994,183)
The predictable, linear structure of the workshop allows what happens inside the workshop to be very nonlinear.
子どもたちの学習活動や成果は、そもそもそれだけで色鮮やかで複雑性に富み、カレイドスコープですね。教師がカレイドスコープのような学習環境を設定しなくていい。教師が主人公にならなくていい。教師が美しい単元構想を練るのは、学校ではよくあることです。そして、僕自身も。特に全国発表をやっていた頃は、まさに教師のカレイドスコープで他の先生達を魅了しようとしていました。子どもたちは置いてけぼりで。
Changing Your Classroom Ecosystem: Bringing Your Reality Closer to Your Vision
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