『遊びが学びに欠かせないわけ―自立した学び手を育てる』
僕は今まで吉田新一郎さんの本は、ほとんど読んできていますが、今回のこの一冊はこれまでの本とは「異質」な感じがします。読者対象も、世界も、時間軸も、広いのです。
子どもに関わるすべての人に
僕はこの本は、教師として読むのではなく、親として、子どもに関わる大人として、読んでほしいと願っています。というのも、子どもが大好きな「遊び」というものに対して、私たちは大きな誤解をしてとらえ、子どもの可能性を大人が予想できるようにコントロールしてしまっているかもしれないからです。
ふと思い返すと、自分の娘と、僕の少年時代の遊び方は、大きく違っています。
僕は、小学校低学年でも夕日が暮れるまでドッジボールをして遊んでいました。今でも、友達と充実したドッジボールをして、夕日を背にして家に帰る情景を、ありあり思い出すことができます。
一方で、うちのあおしゃんの遊びは、学校の放課後スクールで先生の監督の元遊んでいるか、もしくは、近くの小さな公園で友達と4時半までというきまりのもとで遊んでいます。放課後スクールも小さな公園の遊びも、どちらも自由を謳歌した遊びとは言えません。少なくとも、僕が経験していた、子どもだけのために存在する遊びでは、なくなっているでしょう。
この本を読んで、「自分の娘」と「遊び」と「親の関わり」の、3つの要素の関係を見直すことなりました。
自由の翼
あおしゃんの自由というものを、親である私が、知らず知らずのうちに削りとってしまっているように感じます。良かれと思って、いろいろ準備したり、都合が悪いだろうと思って、失敗しないように声掛けしたり、親としては、当たり前なのですが、当たり前すぎて、自分の行動や声掛けがどれだけ影響を与えているかに無自覚になってしまっています。
そこに、一筋の光明を与えてくれるのが、この「遊びが学びに欠かせないわけ―自立した学び手を育てる」ではないでしょうか。
この本は、完全に教師の授業のテクニック集とは真反対にある本です。かかわり、ありよう、心のもち方に、まっすぐな問いかけを投げ込んでくる本であります。
僕はこの本のタイトルに、「自由な遊びは子どもの翼」と名付けて良いように思っています。自由な遊びを奪い取ってしまったら、それは、子どもの翼をもいでしまうようなものなのですから。
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