負動産時代 マイナス価格となる家と土地 (朝日新書)

大人のための読書記録
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成長し続けなければならない呪い

土地の値段が右肩上がりで続いていくことを前提にして法整備がされている日本。

これって、教育や子ども取り巻く今にも、当てはまるように思います。

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土地を捨てる

例えば、固定資産税ばかりが発生して価値を生み出さない土地を地方自治体に譲渡することは、基本的にできない。

それは、土地は持っていれば何らかの価値があると誰もが考えていた時代に作られた制度が元になっているから。

土地を捨てるという発想は、その当時、誰ももっていなかった。

土地を譲り受けない

例えば、土地の相続。相続する権利を持つ人が相続を放棄すると、その子どもや孫などに相続の権利が広がる。

そうなると、誰の土地だか分からない土地の持ち主が100人以上いて、その人全員に承諾を得ないと、土地を売却したり他の利用をしたりする許可をもらえなかったりする。

これも、右肩上がりに土地の価値は上がるものだから、相続しない人の存在を考慮に入れていない。

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価値観が変わった

土地をめぐる問題を見回すと、これは、子どもたちを取り巻く成長の呪いと似ているような気がする。

子どもは、教師から教えられたことを順番に学んでいくことを前提として制度設計されている。

例えば、45分授業(先生の授業に集中できない)、一人一つの机(前を向いて聞く。関わることやみんなで意味を作り出すことには、向かない)、宿題(子どものニーズや多様性は視点にない) これらはどうしても、古い制度設計でうまく回っていたものだけれど、時代背景や価値観や変わってきて、うまくはまらない価値観を見ないようにして、学校という組織を変えようとしない。

まさか、これほどまでに土地神話や教育への価値観が変わることなど、きっと制度を作った偉人たちは予想しなかっただろう。

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古い前提を問い直す難しさ

一度強固に敷いてしまった制度を、0から作り直すことは、本当に複雑で手間のかかることだろう。

相続人のすべての同意を得ないと、土地利用ができない仕組みを変えるためには、利権者を説得しつつも条例を改正していかないといけないだろうし、教育への価値観をシフトしていくためには、今の教育の価値観に依存している利権者(学校、学習塾、教材、教科書など)を動かしていかないといけない。

みんな日本のためや子どものために、自分のやってきたことを信じて動いているから、さらに難しいだろう。

古いものを断ち切れない弱さ

日本は弱いのだと思う。

リスクを取って新しい価値観に舵を切ることができない。

土地の問題も教育の問題も、同じように思う。

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