年に一度の雪山登山
昨年度から、1年に1回、雪山登山をしています。これまでは、丹沢山塊を積雪のある時期に狙って行っていましたが、昨年から、「作家の時間」仲間であり、登山仲間でもあるあすこまさんと、雪山登山を楽しむようになりました。雪山登山は、関東在住の僕にとって経験を積むことが難しいですし、無雪記のコースタイムと大きく変わってきます。一人で雪山はリスクがあることから、雪山経験のあるあすこまさんにガイドをお願いしてもらっています。
2024年の浅間山は雪がとても少なかったそうですが、2月4日と5日で関東でも大雪警報が出て、軽井沢周辺も雪深い景色に変わりました。そして、その1週間後の2月10日というタイミングで軽井沢を訪れることができて、自分はついているとしか思えません。昨年度も、八ヶ岳ブルーが映える本当に美しい日になりました。日頃の行いが功を奏しているのだと思います。
登山は山に登るだけなので、お金はあまりかからないと思っていたのですが、やっぱり沼に入りだすとかかります。春や秋の登山の装備では、冬の寒さには太刀打ちできません。登山は、その状況で運動量が大きく変わるスポーツです。登りでは汗が滝のように流れる一方で、山頂のような遮るもののない場所に居続けると、一気に体温が奪われます。汗をウェアの中から逃し、外気から体温を守ることが大切です。アンダーウェアとアウターの組み合わせなど、山の状況によって考えなければなりません。特に雪山は、装備がないと危険です。これまでの経験と行く前の情報集め、そして、こつこつと装備を揃えていきました。
今回は、ハードシェル(雨や雪を通さず、枝などでも傷がつかない硬いアウター)とアルパイン用のパンツを中古で購入しました。新品の半額程度で購入できました。また、前回、十分だろうと持っていった厚手のグローブでは保温性が足りなかったので、グローブもよいものを中古で購入しました。準備万端です
また、あすこまさんとつながりのある自然ガイドの方から、スノーシューを貸していただきました。雪がふかふかなので、アイゼンでは歯がたたないと思いますので、大変ありがたいです。状況によって使い分けるために、14歯のアイゼンも持っていきます。
池の平湿原でスノーシュー
さて、1日目は、湯の丸高原スキー場の第6リフトに乗って、雪の平湿原や東篭ノ登山方面を目指します。スキーやスノーボード客が99%。その中に、登山客としておじさん二人が乗るので、ちょっと気恥ずかしいですが、楽なので我慢します。
そこから、林道を歩きます。トレース(誰かの足跡)を手がかりに前進。林道は広いのでよいですが、登山道になると、誰も通らなかった場所はどこが道なのかわからなくなるので、慎重な判断が必要です。僕はGPSアプリを使って道を判断していきました。
雪の量が関東とは違いますね。うれしいです。
しばらく歩くと、池の平湿原の入り口に到着します。東篭ノ登山方面に行く計画でしたが、新雪が深く積もっていて、スノーシューでも深く沈み込んでしまいます。私たち初心者は登山道を見失ってしまう可能性もあることから、見通しのきく池の平湿原方面を選択しました。
眼下に広がる池の平湿原。まずは迂回して、雪山のハイキングを楽しみます。
自分の進行方向にトレースが何もなく、道を自分で作っていきます。これが雪山の醍醐味です。ウサギの足跡についていきながら、GPSと方角を頼りに進んで行きました。スノーシューを履いているにもかかわらず、深いところでは、太もも近くまで雪で埋まってしまい、次の一歩が出せなくなります。コースタイムの2倍近くかかっているかと。やはり、雪山登山は予測がつきません。しかし、誰も踏み入れていない新雪に足跡をつけていく感覚は、最高です!
池の平湿原に到着しました。昨年は積雪期の白駒池に行って、凍った湖面を歩きましたが、それと同じくらい白いキャンバスのように真っ白で、この銀白に足を踏み入れてしまっていいものかと、どこか罪深いことをしているような気分にもなりました。神々しい場所です。
雪山讃歌の発祥の鹿沢温泉へ。ひなびた立ち寄り湯で、雪山讃歌の歌詞が額に収められていました。アフター登山も楽しみの一つです。
アイゼンで浅間山外輪山縦走コース
2日目は、浅間外輪山の縦走コースを進みます。雪山登山の初心者コースとして挙げられている黒斑山を目指します。
7時半頃、高峰高原ビジターセンターから出発。トイレをお借りした高峰高原ホテルは、手元の時計でマイナス10度を示している中、まさに新しくて綺麗で天国でした。アイゼンをつけるために少し手を出しているだけで、指先の血液が凍りそうになるのがわかります。この気温で何かトラブルがあったら危険です。雪山装備が絶対に欠かせません。池の平湿原の木々よりも着氷が多く、こちらの方が厳しい寒さなのが分かります。
しばらく登山道を歩くと、槍ヶ鞘に到着。ここでまずは浅間山が眼前に現れます。浅間山は活火山なので、山肌が黒っぽい色をしていることから、ガトーショコラなんて言われますが、全体に粉砂糖をこれでもかと振り掛けたような姿になっています。
トーミの頭を経て、黒斑山へ。右手に浅間山を眺めながら、樹林帯を進んで行きます。時間の余裕があるので、さらに蛇骨岳、仙人岳と進んで行きました。蛇骨岳から仙人岳の道は、稜線歩きになります。積雪期の稜線歩きなんて、初めてのことです。浅間山外輪山のコースは、樹林帯から岩稜帯、稜線歩きと変化に富んだコースを楽しむことができるので、本当におすすめです。
登山の後は、草笛本店のお蕎麦をいただきました。もりそばの「中盛り」を注文。店員さんが言うには、中盛りなのに900グラムあるらしい。そして大盛りはない。なぜだろう。箸でかき分けてみると、まったく底上げしていない…。まるでバケツに入ったそば。とってもお腹いっぱいになりました。
やっぱり、雪山は美しい景観と大自然の厳しさを両方感じられるすばらしい体験だと思いました。けれど、コースタイムは予想がつかないし、いつもと違う筋肉の疲労感で、まだまだ経験を積まなければ、リスクのあるコースは難しいと思いました。自分の力量を見極めながら、来年もチャレンジしたいところです。
あすこまさんと一緒に山に登っているのに、まったく国語の話は書きませんでしたね。山を歩きながら、国語の話をたくさんしています。それはまたいずれ。
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