プロジェクトってどんな学習方法? Differentiated instructional strategies chp.7 PART2

一人ひとりを生かす指導法 Differentiated Instructional Strategies

前回に引き続き、Differentiated Classroomに対応できるオープンな学習方法の紹介です。

センターって何? Differentiated instructional strategies chp.7 PART1

この本も参考にしてください

ようこそ,一人ひとりをいかす教室へ: 「違い」を力に変える学び方・教え方

プロジェクトって何?

プロジェクトは、子どもたちが調査官、研究者、発明家になって、あるトピックについて探究しながら学習してく学習方法です。リストにあるトピックや内容を自分で選ぶか、もしくは割り当てられるかして、自分のトピックを決めます。

プロジェクトのポイント
  • 目標は明確になっているか
  • 子どもたちが自立して学べるように、発達段階にあったものになっているか。
  • その年に教えた内容が含まれているか
  • 選択肢を提供しているか
  • 学習計画は合うか
  • 評価方法によって評価できるか

そのプロジェクトで、何を期待しているのかなどを、しっかり子どもたちと共有しなければなりません。僕の場合は、A41枚程度の、シラバス兼ガイドラインを作って、子どもたちと共有しています。そこには、目標、評価、期日やスケジュール、手がかりとなる質問集、リソース集などがあります。

この本の筆者も言っていますが、プロジェクトは、最小限のガイドラインと、最小限のクライテリアで緩やかに構造化し、子どもたちにリスクを取ることと創造力を発揮することを促します。決して、プロセスも手順表を作って、学習展開のとおりに学習することはしません。

プロジェクトは、ゴールを意識する必要があります。子どもたちは、学習のゴール、学習のスタンダード(指導要領)、学習の目的などをデザインします。一方で、学習方法、学習内容、学習ペースなどは、子どもたちが自分に合うものを選べるようになっています。どこは子どもたちに委ねて、どこは教師がデザイン(学習環境の設定)をするのかは、明確です。

センターと同じことは、学習環境をしっかり作ったら、あとはカンファランスと学習環境の調整に教師の介入をとどめ、子どものオーナーシップと創造性を高めること。センターのほうが、よりタスクや手順を明確にして、区画によって分けているので、低学年向けである一方、プロジェクトの方が子どもたちの責任は大きく、自分で決められる幅が大きいので、中・高学年向きと言えるのではないでしょうか。

889520 / Pixabay

プロジェクトはどうやって行うの?

子どものプロジェクトのプロセス
  1. トピックを選ぶ
  2. タイムライン(計画)や仕事の分担(グループで行うのであれば)などの行動計画を作る。
  3. 計画を実行する
    • アイデアを集める
    • 資料をリストにする
    • フォーマットを決める
    • ルーブリックを参照する
    • カンファランスをする
    • アイデアを束ねる
    • 発表の準備をする
  4. プロジェクトを展示したり発表したりする

ここでも、Contractを行うことを薦められています。(Contractについてもそのうちまとめます)Contractは、全員が同じ評価基準に基づいて作られたものである一方で、自分が選んだプロジェクトに合わせた評価基準にも対応していて、Differentiated Classroomの考え方が生かされたものになっています。

そして、評価基準表を、教師、子ども、保護者と共有することにも言及しています。評価基準表は、このプロジェクトで求める目標、ガイドライン、期待を保護者に伝える役割を果たし、保護者と連携するツールになります。この部分には、日本は大きく出遅れていますね。今行っている学習の目標やプロセスなど、保護者としっかり共有できれば、保護者が力になってくれることも多分にあると思います。誰もオーナーシップを感じていないテストの点数や成績という幻想だけでつながっているように思えてしまします。

geralt / Pixabay

例えばプロジェクトはどうやっているの?

アニマルプロジェクト

あなたの仕事は幼稚園生、1年生の子にあなたの動物について授業をすることです。また、あなたは幼稚園生達に、あなたが作った動物のカードを見せてあげます。私たちのクラスに動物園のディスプレイを作るために、下のリストから一つ選んでください。

  • 箱を使って、動物がどういった所に住んでいるか、生息地の環境を作ってください
  • あなたは動物のエキスパートです。1週間動物の観察をしています。そのフィクションをジャーナルに書きましょう。昼夜何をしているかをしっかり書いてください
  • あなたは、ある国から連れてこられた誰も見たことがないような動物を想定して、それについての新聞記事をかいてください。何を食べるか、どのような見た目か、サイズ、生態などをしっかりと含めてください。
  • あなたの選んだ動物についての物語やポエムを書いてください
  • 動物園にあなたの動物を持ってくるための寄付をみんなにしてもらえるような、雑誌広告を作ってください
  • あなたの動物についての興味深いことをみんなに教えられるパンフレットを作ってください。
  • あなたの動物の実寸大の絵を作ってください。詳細に描いてください。
  • あなたの動物につちえ重要な情報がかかれているポスターを作ってください
  • あなたの動物を取り上げたマンガを描いてください
  • あなたの動物をモデルにした人形を作ってください
  • 人気者になるように、あなたの動物で立体絵本を作ってください
  • あなたの動物を食べる動物や、あなたの動物が食べる動物などを表した、食物連鎖を作ってください
  • 州の代表になぜあなたの動物が重要であるか伝える手紙を書いてください。動物の保護をしてもらえるようにお願いしてください。
  • もし違ったアイデアを持っていれば、始まる前に先生に聞いてください。

上のように、いろいろな表現方法が選べるようになっています。けれど、どの学習活動を選択肢ても、動物の生態やその保護が学習できるようにデザインされています。また、子どもがどのマルチプルインテリジェンスをもっていても、自分のマルチプルインテリジェンスに合わせて学習が選択できるようになっています。

この本にはその他にも、「栄養学と幸福」「整数」などで例示がされています。

designerpoint / Pixabay

やっぱり、環境設定が大切

オープンな学習デザインで子どもたちに創造性やオーナーシップを育てたい場合、気をつけたいことは、オープンであればあるほど、最初の学習環境設定に注意を払わなければならないということです。(もちろん、カンファランスや形成的評価によって、環境を調整することも必要です)以下は、プロジェクトのようなオープンな学習をしたときに、何を意識したら良いか、トミー的なまとめです。

  • どの内容やどの発表を選んだとしても、達成させたい目標は何か。(目標への意識)
  • どのような方法で、子どもたちの学習を形成的な評価するか。(評価への意識)
  • 目標達成のために、何を選択できるようにして、何はマストにするのか。(プロセスへの意識)
  • 調べる方法や、発表の方法は何を用意するか。(学習環境への意識)
  • ユニットを始める前に、子どもたちの実態・興味・習熟をどのように調べるか。(プレアセスメントへの意識)
  • 楽しいか?(HAVE FUN!!)

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