ようこそ,一人ひとりをいかす教室へ: 「違い」を力に変える学び方・教え方
この本にも登場する「センター」が、Differentiated Instructional Strategiesにも登場します。2つを読むと、もっと良く分かる。そこで、今日は、日本ではあまり行われていないセンターについて紹介したいと思います。
センターとは?
センターとは、教室を区画的に分けて、目的別や難易度別などで集まった子どもたちに、比較的自由度を抑えめにして学習に取り組ませる一つの手法です。各区切りのことを、センターと言います。センターはいろいろな目的によって区切りされますが、下の例は活動別でのセンターの例です。
- 難易度の違ったテーマや内容によるセンター
- もっと調べたいトピックによるセンター
- 経験や発見や考えのための自由な発見センター
- 補足したり思い出したりするためのマルチメディアを使ったコンピュータセンター
- 幅広い種類の読み物のあるリソースセンター
- 学習や創造を表現する制作物を作るためのアートメディアテーブル
- 登場人物やイベントの流れを演じるためのロールプレイセンター
- 手にとって学ぶことができる操作センター
- 調整された役割振りのためのスキルセンター
- 多様な書くための道具やいろいろな種類やサイズの紙が揃っているライティングセンター
- 問題を解決するチャレンジセンター
- 音楽やフィクション、ノンフィクションの内容を聞ける、リスニングセンター
- 生徒にトピックに関係する選択を提供するマルチプルインテリジェンスセンター
上記のセンターは一例です。このように、内容や難易度、興味、目的などで、各センターに分かれ、学習を進めることになります。 センターには、やることリストやレジュメがあります。なので、各センターに散らばった子どもたちは、そこでリストを自分で取り、そのリストに基づいて今日は何をするかを自分で決めます。なので、センターの時間は、自分の目的や学習のスピードなどを自分で決めることができます。つまり、センター学習を通して、自分の学習には自分で責任をもてることを学びます。けれども、リストやレジュメなどで枠がある分、プロジェクト学習やワークショップよりも自由度は低く、低学年向けの学習として捉えられているようです。 センターはグループや個人で取り組みますが、いろいろなバリエーションがあるようです。
センターの具体例は?
この先生は古代の市民性というテーマで、日本や中国、アメリカなど、地域別にセンターを設置しています。
目標
「グループのやることは、できるだけいろいろな資料から市民性について発見し、クラスに情報を発表することです。」
やり方
- 各グループに色別のフォルダーをわたします。そのフォルダーは、やることへの評価基準が説明していたり、自分の古代人についての情報を発見できるようにしたりしています。
- グループのどの子も役割をもち、スムーズに役割を果たしたり、タスクがよりうまくできるようになったりします。
- 授業の時間は(学習した結果を)フォルダーに揃える活動を行うことに使います。グループのジャーナルに学習プロセスを記録します。
発表方法
- 自分の選んだ市民性の専門家になってください。そして、あなたの知識をクラスメイトにシェアしてください。
- グループでパワーポイントでの発表の準備をしてください。各グループは最低でも2枚のスライドを使わなければなりません。
- 他の道具も使うことができます。例えば、OHP、ミニ黒板、地図、写真など。自分のマルチプルインテリジェンスに合わせましょう。
- 発表は15分以上行いましょう。そして、友達の質問に応えられるように準備しましょう。
評価
- 内容 2・4・6・8
- 発表 2・4・6・8
- ソーシャルスキル 2・4・6・8
- 個人としての貢献 2・4・6・8
だいたい雰囲気が伝わってきたでしょうか。目標をしっかりと子どもたちと共有しています。先生は、フォルダーにあるレジュメ、評価基準表、ガイドラインなどで、子どもたちを間接的に支援します。ただし、何でも自由ではなく、発表方法や学習方法で制約をかけます。このセンターはまだ自由度が高めのセンターかもしれません。(もう一つの算数の例はかなりやることが決まっています。この例の紹介は良く伝わってこないので割愛)
センターのコツは?
- ワークスペースを効果的に区切ること。机やカーペット、テーブル、教室の角などを利用します。
- 教材にラベルやシンボルマークを貼ります。どのセンターの教材であるかを見分けるために、ラベルを張って分類し、子どもたちも整理整頓に参加できるようにします。時間を大切に使えるようになります。
- 共通理解の下、ルールを設定します。例えば、「静かに活動し、お互いを大切にする」などです。
- 子どもたちの注意を引きつけるための合図を決めます。たとえば、終わりの時間、掃除の時間を知らせるためです。
- センターの時間が終わる前に、やることが終わってしまう子がいます。そこで、スポンジアクティビティ(自習教材や各自のポートフォリオの整理など、柔軟に学習できる自習リスト)を用意しておきます。
- 子どもたちにも先生のテーブルにも回らせるようにして、特定の子に支援を行います。
- 子どもたちの観察によっては、新しい興味のありそうなセンターを追加することもあります。
- 子どもたちを観察してカンファランスを行い、その子の決定に合うセンターを仲介します。
センターはどうやって評価するの?
何と言っても、学習中の評価が大切です。リーディング・ワークショップのように、先生は効果的な質問をして、子どもたちがさらに学べるようにしていきます。オープンエンドな質問で、メタ認知や内省を深めていきます。先生は学習中のエピソードをノートに記録したり、観察チェックリストを準備して子どもたちを記録したりします。 例示されている観察チェックリストには、やることができたか、時間、整理整頓、ルール、ソーシャルスキル、教材の共有、友達の手助けなど、多岐にわたっています。これは、先生用・自己評価用・相互評価用のどれでも使えるようになっていて、サインをするようになっています。
自由度の高い学習には、入念な準備が必要
やはり、子どもに自立的に学習を行わせるのであれば、それをガイドするための教師の準備は欠かせないように思いました。センターを行うために、教室環境づくりだけではなく、レジュメ(目標、やること、評価基準表)や、教材シール、観察チェックリストなど、多くを準備しています。観察チェックリストなどは、どのセンターを設置したとしても使いまわせるようになっているので、一度作ってしまえば、手間はかかりませんので、教師もセンターのような学習にトライして、使いまわせるワークシートや枠組みを作ってしまうことが良いと思います。
動画を見て雰囲気をつかもう
僕もリスニングは苦手なので詳しいことはよく分かりませんが、雰囲気はつかめます。 幼稚園の例です。これはステーションなので、子どもたちが全てのセンターを回る方式のようです。時間によって、先生が活動を一定時間で区切っています。
Differentiated Instructional Strategies: One Size Doesn’t Fit All
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