契約って何?
契約とは、先生とこども一人ひとりが、学習の目標、評価方法、タイムライン(手順やスケジュール)などの間で、交渉し、契約を結ぶことです。子どもたちは、自分たちにあった学習方法を提案できる一方で、契約を結ぶので自分の学習に責任をもちます。また、教師も、子どもたちに決定権を可能な限り委ねる一方で、交渉の際に、スタンダードからズレてしまうものや、学習としてその子にふさわしくないものには、修正を加えなければなりません。
契約とは、子どもたちと先生との交渉の結果、2者間で、どのような学習を行うかの道筋を示すもの。そして、子どもたちを信頼し、しっかり学習の主導権意識を高めるものです。大体、A41枚で作られています。
契約ってどんなもの?具体例
以下は作家になる学習の契約例です。この契約は、必須の活動とオプションの活動があり、達成すれば加点されるようになっています。達成点数が決まってます。点数は、契約の一部分で、必ず設定されるわけではありません。
作家になる学習の契約
読み書きを高めることを助けるために、コアの活動を達成し、オプションの活動を選んで、最低でも40点をとってください。
契約を書いて、____までに先生に渡してください。
全員が行うコアの活動(点数)
- わたしは、___________の本を選んで読み始めます。(5点)
- わたしは、本のメインキャラクターでマインドマップのキャラクタースケッチを作ります。(外見、個性、友達や家族、好きなもの嫌いなもの)(10点)
- 作家はいろいろな言葉の使い方をします。あなたがユニークだと思う文章を3つ選んで、意味やなぜ作家がその方法で自分を表現しているのかを、自分の言葉で説明します。(10点)
オプションの活動
- わたしが読んだ状況設定や問題についてロールプレイをして、それを対話形式で書きます。(1ページ分)(10点)
- プロットを大まかに書いたキャプションを付けて、ストーリーマップやコミック・ストリップを書きます。(10点)
- 自分の本と作者を宣伝するために、コンピュータでコマーシャルやポスターデザイン、パンフレットを書きます。(5点)
- 批評家として、お話についての自分の考え、わたしの考えるプラス点・マイナス点、興味を持ったこと、これらを共有する記事を書きます。これは、1ページ分のコラムになります。わたしはコンピュータのワードを使います。(10点)
- 先生と対話して、オプションをデザインします(5点か10点)
◯これで____点をもらえます。
生徒の署名 _______________
先生の署名 _______________
先生と子どもで学習をデザインする
さらに、この本には、リーディング・ワークショップの契約を含めて、何種類かの例が示されています。どれも、子どもたちが、活動を選べるようになっていたり、最終的な成果物を決められたりしています。先生だが学習の見通しを持つのではなく、契約を通して、子どもたちと一緒に、学習をデザインしていく意味があるのでしょう。
日本人の視点からすると、『契約』というのは、なんだか強い圧力を感じてしまいますが、アメリカの視点からすると、両者の約束を取り交わすものということで、より民主的なのだと思います。契約を通して、先生と子どもが、お互いに責任を持って、より良い学習をこなっていくのではないでしょうか。子どもが学習デザインに参画するという視点が新しいように思います。
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