子どもをアセスメントする具体的な方法とは? Differentiated instructional strategies chp.4 Assessing the Learner

一人ひとりを生かす指導法 Differentiated Instructional Strategies

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Differentiated instructional strategies chp.4

子どもを理解する Assessing the Learner

見取るという言葉には、「看取る」というあまり縁起の良くない言葉もあります。だから、あまり使いたくないですね。できるだけ、見取るではなく、子どもを理解するという言葉を使っていきたいと思います。

用語集 GLOSSARY OF TERMS

 

  • 本質的な評価(成績付けの評価じゃなくという意味) Authentic Assessment
  • 電子ポートフォリオ E-portfolios これやりたいですね!!こういうの研究したい。
  • 形成的評価 Formative Assessment
  • ポートフォリオ Portfolio
  • 診断的評価 Pre-assessment
  • 総括的評価 Summative Assessment

Assessmentは、学習を行う前の評価と、学習中の評価の両方を指しています。EvaluateとかGladeとなると、成績をつけるための評価の意味で、英語ではこれを明確に分けて表現しています。この考え方で子どもを理解することが大切なように思います。

形成的評価 FORMATIVE ASSESSMENT

 

Differentiation is driven by data. You can’t make instructional decision without considering what students know, can do, are interested in, and prefer.

— トミー (@tommy32wider) 2017年12月15日


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 Differentiated Classroomにおいて、子どもたちの興味や関心、体験、学習歴などのデータはとても大切です。それをもとにDifferentiated Classroomのプラン(ユニットの授業の流れ)が作られます。
 
 私たちも、テストの点と作品のグレードしか記録しないということがないように気をつけたいですね。それでは、成績をつけることしか教師の仕事ではないと思っているということですしょうから…。教師の仕事は、子どもを伸ばすことが、もっとも大切な責務です。
 
 僕の印象では、学校は総括的評価に気合が入りすぎです。なぜなら、負の局面が大きく、保護者にしっかり説明するためにはちゃんと総括を、とか、表記ミスをするとマスコミや委員会から悪く言われるからしっかり確認を、とか、そんな理由からいろいろな意味で(どちらかというと負の意味で)すごく気合が入っています。その点、形成的評価が甘くても、表記ミスを叩かれることはない。学校を取り巻く周りの環境(塾、受験、テストなど)も、総括的評価のような分かりやすい「グレード」の方が好きなんでしょうね。
 

診断的評価は何のため? PURPOSES OF PRE-ASSESSMENT

  • このユニットでもう知っていることは何か
  • 子どもが理解するスタンダード、学習対象、内容、スキルは何か
  • 習熟のためのよりよい教え方や機会は何か
  • 復習や再強化が必要なものは何か
  • このユニット以外のもので興味をもつ必要のあるものは何か
  • グループ(一斉・個・パートナー・小グループ)をどうするか
When teaching with high achievement as a goal, one important aspect of assessing learners is finding out what the students already know.

— トミー (@tommy32wider) 2017年12月15日

子どもたちを教師のレールに乗せること(教科書の内容を教えること)が当たり前になっているので、子どもの実態に応じて学習を変えていく(むしろ作り直す)ということが本当にすっぽりと抜け落ちてしまっているように思います。
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 診断的評価の例

  • Pretest いわゆる紙で行う質問紙法
  • Informal Pre-assessment 観察・対話・プレテストの分析を含めたもの
  • Rank Score 上2つを行って、子どもを大まかに学力や興味などで分ける。

子ども理解の方法の具体例 SAMPLE OF INFORMAL PRE-ASSESSMENTS

 たくさんあるので、ブログで書きやすいものを中心に紹介します。
  • Squaring Off 教室を4つ(3つの場合も)のブロックに分けて、レベル別や興味別に移動させる。移動先で友達と話している様子を観察したり、さらにポスターなどに質問ややってみたいことなどをまとめたりする方法もある。
  • Boxing 紙に大きな四角の中に小さな四角を書き、大きな四角の外側にこのユニットで知っていること、小さい四角の内側に知りたいこと、間には自分の考えや友達とのやりとりなどを書く。
  • Yes/No Responder Cards YesとNoのカードを質問によって挙げたり下げたりする。2枚のカードを使う方法と、裏表に書く方法がある。
  • Graffiti Fact 模造紙をはって、そこに「知っていること」「学んでいること」「学びたいこと」を書いていく。

調査 SURBEYS AT WORK

 質問紙の具体例が書かれています。驚いたことは、算数のような教科でも、その子の興味や嗜好、学習方法、買い物の経験、お手伝いなど、事細かに調査をすることです。算数であれば、既習事項が習得できているか程度のように思いますが、その子の生活を関連させる手がかりをつかむことをとても大切にしていることが読み取れます。

学習中に使える形成的評価 FORMATIVE ASSESSMENT TOOLS TO USE DURING THE LEARNING

 学習中でも即座に子どもの理解状況や進捗状況を確認できる方法を紹介しています。
  • Thumb It 親指を立てる、横にする、下にする、の3段階評価で反応を示すやりかた。親指でなくても良いそうです。Project Adventureでもありますね
  • Fist of Five Thumb Itの5本指バージョン
  • Face the Fact ニコニコ・普通・がっかりの顔のカードで示すやりかた
  • Reaching for the Top 腕の角度で天井がMAX。真横が0。
  • Speedometer Reading 自分の学習の速度を示すもの。これはDifferentiated Classroom特有ですね。一斉授業では一人ひとりのスピードにほぼ違いはありませんから。

学習語の振り返り REFRECTIONS AFTER THE LEARNING

 これもいろいろな方法が示されています。
  • Wraparounds 円になってトピックについて一人ひとり話していく
  • Talking Topic ペアでトピックについて話し合う
  • Conversation Circles 3人組を作り、決められた時間ごとにAさん、Bさん、Cさんと順々に関連させて振り返っていく。
  • Donut 紙にドーナツを書き、ドーナツの外に学習中のこと、ドーナツの真ん中に知ったこと、ドーナツの部分にパートナーからの反応を書いてもらう。
  • Rotation Reflection トピックごとの模造紙の所に人が集まり、記録者が模造紙にみんなの振り返りをグラフィックしていく。決められた時間が経過したら、次の模造紙へ移動。
  • Paper Pass Rotation Reflectionの模造紙を動かす方法。
  • Draw It! 今日の授業の一番良かった場面をペアで絵で表現する。
  • More ideas! 持ってきたもの、ほしいもの、教えて!など、ユニット中トピックを書くボードが用意されていて、そこに書いていく
  • Grand Finale Comment ユニットの最後にグループやパートナーの友達にフィードバックを送る

本質的な子ども理解を続けよう ONGOING FORMATIVE AUTHENTIC ASSESSMENT TASKS

The student are asked to demonstrate mastery in ways that simulate a real situation. Therein, the knowledge and skills are practiced and applied, and mastery is shown or demonstrated in a way students can convey it best. #education #differntiated

— トミー (@tommy32wider) 2017年12月15日

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 やらせてみることが何よりも大切ですね。カンファランスでも、読んでみてもらう、話をしてみてもらうということで、その子の読みの特性が分かります。うちの娘は「ワンダー」を今読んでいますが、音読させるとなんと難しい漢字は読めていないんです。でも、それで苦しそうに読んでいるわけでなく、すごく集中して読めています。そして、楽しそうに読んでいるんです。自分の読めている範囲で、ワンダーを楽しく読めている。この状態は、「読める」という範疇にいれて良いと思っています。教室の中でもこういう子っている可能性があります。音読はできないけれど、その子の想像力を生かして、楽しく読めている子。こういう子は、やっぱりしっかり面と向かってカンファランスしていこうと思わないと気づけないと思います。

Usually a rubric or checklist is developed and used throughout the entire process, so that the student, the parents, and the teacher understand the criteria and expectations and can assess progress along the way. #defferentiated #education

— トミー (@tommy32wider) 2017年12月17日

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 保護者に評価規準などを公開するというのは、日本ではまったくないです。しっかりクライテリアを公開し、共有した方が、保護者と一緒に子どもをそだてることができるのかもしれません。保護者と共有しても、可視化された学力ばかりに目がいってしまうと、うまくいかないかもしれません。
 

Black and Wiliam (2009) found that, when researching the impact of grades on learning, grades alone did not improve learning and success.#defferentiated #education

— トミー (@tommy32wider) 2017年12月17日

When students got a grade and feedback on a paper or assignment, they paid more attention to the grade and how they ranked with other students rather than considering the feedback and setting a goal to improve.#differentiated #education

— トミー (@tommy32wider) 2017年12月17日

Students who received only ongoing, specific feedback did up 60% better than other stuents who were given grades.#differentiated #education

— トミー (@tommy32wider) 2017年12月17日

 この内容は非常に大切です。教師は分かっているはずです。通知表を渡した時に、いくら他の子の成績を見てはいけないといっても、こっそり見比べて自分のランクを確認していることを。フィードバックなんて、一読しかしないことを。どうして通知表をやめられないのでしょうか。
 僕も昔、レポートにグレイドを入れて返却していましたが、これを読んで絶対にやるまいと心に誓いました。
 
The second option allowed calculator use and a formula sheet for students during the test. The problems were applications to real life, thus not perfect math numbers. #diffrentiated #education

— トミー (@tommy32wider) 2017年12月17日

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 計算機で思い出すのが、賢い中学校や高校では、授業中にスマホを使うところもあるようです。鉛筆と同じレベルの道具。だからこそ、wikiなどをどうやって創造的に使っていくかが鍵になると思います。もう最先端の人は、パソコンもあまりつかわないそうです。音声入力がかなり精度が上がっているので、ブログも声で書くようです。僕もパソコンでこれを書いていますから、古い人間ですね。
 

ポートフォリオ PORTFOLIOS

 このポートフォリオの下りは、僕にとっては本当に参考になる記述ばかりでした。Differentiated ClassroomやPBLなど、これから実践しようとする先生たちは、このポートフォリオは必須だと思います。一斉指導ではほぼ意味がないツールです。一人ひとりの足跡が見える楽しいポートフォリオは、学期末にはきっと宝物になって、お家に持って帰るんだろうなあと想像しています。
 

 

Some teachers use colored dots to identify pieces that are included: red dot on student-seleted piece, yellow dot on teacher-selected pieces, and green dot on teacher/student-slected pieces. #differentiated #education

— トミー (@tommy32wider) 2017年12月17日

 

 ポートフォリオ運営のとても良い工夫です。
  • 赤シール…子どもが選んだもの
  • 黃シール…先生が選んだもの
  • 緑シール…先生と子どもで選んだもの
 これをするだけで、ポートフォリオのオーナーシップは格段に高まり、ポートフォリオから新しいプロジェクト学習を生み出すことができるかもしれませんね。
There can be four steps in the portfolio process: collect, select, refrect, and project (Burke, Fogarty, & Belgrad, 1994).

— トミー (@tommy32wider) 2017年12月17日

この4つの段階はわかりやすいです。
  1. 集める
  2. 選ぶ
  3. 振り返る
  4. プロジェクトにする(新しい目標を立てる)
1だけの機能でポートフォリオをやってしまってはいけません。ポートフォリオは、全員が違うことが前提。PBLでとっても役立つものです。
 
 
Every so often, students will examine the pieces and decide which items should stay in the collection and which should be deleted.

— トミー (@tommy32wider) 2017年12月17日

–>  ポートフォリオマネージメントには、この残すものと残さないものを自分で決めるというマインドセットが自分のポートフォリオを育てるというオーナーシップにつながると思います。このIndividualな感覚を育てたいですね。

 

 

Students will then write a reflection to be attached to the piece that explains why it was selected and what criteria it satisfies.

— トミー (@tommy32wider) 2017年12月17日

 

 
 共有されたクライテリアがあれば、子どもたちもポートフォリオを自分で選びやすくなるのでしょうか。ちょっと僕は、このへんは慎重にやったほうがいいと思っています。子どもたちが、クライテリアを意識しすぎて、自分の目標への意識を軽くしてしまうのではないかなと。
 

 

Reflections and examination of items can lead to goal setting. Students can decide what to do next, what to focus on, what needs improvement, and what to celebrate. #differentiated #education

— トミー (@tommy32wider) 2017年12月17日

 

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 ポートフォリオが新しい学習のスタートになる。貯めるだけのポートフォリオから脱出しないと!!
 学習をお互いに祝福するという感覚は、日本の教室にもっと持ち込みたいです。作家の時間の出版は、祝福の一つの形でしょう。やらなくてはいけないことをやっているという感覚ではできませんね。自分で決めたことを一生懸命にやってこそ、はじめて祝福するという意義が出る。
 

 

Each student is an individual, and each portfolio will be unique to each learner, showing the individuality and growth of the learner.#differentiated #education

— トミー (@tommy32wider) 2017年12月17日

 

 
 ポートフォリオを嬉しそうに持ち帰る子どもの様子を想像しています。日本の教室はこの違いを許さないかもしれません。能力を一元的に捉えてしまう傾向がある。コチコチマインドセットから、しなやかマインドセットへ。


成績を付ける GRADING

 この筆者も、ちゃんとここまで踏み込んで書いていく所を尊敬しています。本当にここは書きたくないところなのではないでしょうか。
 

 

Rubrics and/or clear criteria must be shared at the beginning of the unit of study so that students know what to expect and work toward.

— トミー (@tommy32wider) 2017年12月17日

 

 子どもたちとクライテリアを共有し、それを一つの足がかりに学習を進めていく。Differentiated Classroomのようにオープンで散らかりやすい学習を、ある程度束ねる役割もあるのだと思います。
If only a final test is given and graded, it may not be a true indication of students’ knowledge and skill.
Their limited comprehension of test terms may also have hindered their success.

— トミー (@tommy32wider) 2017年12月17日

Develop a test that evaluates the material studied by the different groups in the adjusted assignments. This is based on the level of complexity of the study. #differentiated #education

— トミー (@tommy32wider) 2017年12月17日

There are questions given to all the students, and then a potion of the test is developed specifically to address an individual student or group of students. #differentiated #education

— トミー (@tommy32wider) 2017年12月17日

 テストを部分的にでもDifferentiated Classroomに対応させて、目標や内容などに応じて、出題の内容や形式を変えていくというもの。テストは全員が同じものをやらなければならないという当たり前を覆しています。業者一斉テストの問題は、小学校教師の仕事の甘さの一つのように思います。授業者がテストを作らないと、目標と評価が合わなくなる。テスト業者の授業プランのまま、子どもを無視して学習を行うことが前提ならば、業者テストを買ってもいいと思います。そういう僕も、業者テストに依存しているので、反省ですが。現実に、言語活動中心で学習を進めているのに、テストは従来の読解中心の設問だったり、社会科で地域単元を中心に扱っているのに、テストの内容はぜんぜん関係のない地方の内容が出てきたりと、もう齟齬が出てきていることは先生たちも分かっているはず。学年費で買っているからやらなければならないというのは、本当は間違っていますね。
 少なくとも、共通問題の下に3種類ぐらい問題を用意しておいて、柔軟性をもたせたほうが、子どものための評価として機能するでしょうね。


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