ワークショップとDifferentiated Instructionの関係
作家の時間や読書家の時間に代表されるワークショップという学び方。これは、子どもたちの多様性に応じた教え方として、イギリスやアメリカなどで一般的になっている、Differentiated Instructionの考え方と、しっかり馴染むものになっています。
Differentiated Instructionとは
日本の学習計画
日本の一般的な授業の場合、ねらいとなる力をつけるために、学習活動(プロセス)や内容、成果物などを教師が設定します。学習計画を1,2,3と時数と関連させて表されるように、教室にいるすべての子どもたちが、同じような時間計画で進め、内容や学習活動も一緒、成果物もほぼ同じ時間に出来上がるように、学習計画は構成されています。
教師は教えやすいが、子どもは学びにくい
教師としては、非常に仕事がしやすいのですが、子どもたちにとって学びやすいかどうかは考えなければなりません。
学ぶスピードだけでなく、強み(ストレングス)、体験、興味・関心など、多様な内面をもった子どもたちですから、教師が決めた学習活動に沿うことができない子どもたちも、本当は多くいます。教師が想定した学習計画が、うまく自分の学び方と適合する子どもたちは、多くても1・2割でしょう。8・9割の子どもたちは、適応力を用いて教師の指定した学び方に自分を適応させるか、はたまた最悪の場合は、適応できずにドロップアウトしてしまう子もいるように思います。
複線型の学習
そこで、アメリカやイギリスでは、そのような単線型の学習計画ではなく、複線型の学習計画ができないかを模索してきました。
例えば、学習のねらいのベクトル(方向性)は、すべての子が同じですが、学力によって目標や内容は違ってもよいはずです。算数の得意な子は、ベストを尽くして学習を進めることができますし、苦手な子はゆっくりと理解しながら大切な部分の習熟に時間をかけることができます。
時計の学習の例(目標の複線化)
- 習熟が高い子・・・すべての時間をすぐに読める
- 習熟に近づいている子・・・分(または分と秒)を使って、時計が読める
- 習熟の初めての子・・・5分毎で長針を読む
マルチプルインテリジェンスによって「権利章典」の学習を複線化した例(学習活動や成果物の複線化)
- 対人的知能・・・あなたのために学校の権利章典を作ろう
- 論理・数学的知能・・・憲法の出来事の年表を作りましょう
- 博物学的知能・・・いくつかの権利が奪われました。友達が、どの権利、どの改正かを質問から特定できるようにしましょう。
- 視覚・空間的知能・・・ポスターの記事で各々の改正をまとめましょう
- 内省的知能・・・日常生活から最初の改正での自由をどのように使うかをジャーナルで説明しましょう
- 言語・語学知能・・・最初の改正を覚える方法を作りましょう RAPPS(Religion, Assembly, Petition, Press, Speech)
- 身体・運動感覚知能・・・憲法についての会話のロールプレイを作りましょう
- 音楽・リズム知能・・・権利章典のラップ、詩、歌を作りましょう
上のように学習活動を複線化したり、選択肢を設けたりすると、子どもたちは自分の強みや持っている体験を生かして、自分の力を発揮できる学習の目標を決めたり、選択したりすることができます。
日本では特別支援の分野のみで語られてしまう
日本では、Differentiated Instructionはまだまだ浸透していませんし、Differentiated Instructionは、特別支援教育に限定された領域で説明されることもあり、とてももったいないように思います。すべての子どもたちが、もっと自分の学習を学びやすくできる力をもっていますので、Differentiated Instructionはすべての子どもたちへの学習に押し広げるべきだと思います。
ワークショップにおいてのDifferentiated Instruction
たくさん書いたので次回。
ワークショップは遊び場 ワークショップとDifferentiated Instructionの関係 Part.2
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